【知的財産】パナソニックが首位 昨年、中国が韓国抜き4位浮上--国際特許出願[11/02/10]

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14名刺は切らしておりまして
国際特許と呼んでるのは、WIPOへのPCT出願のこと。
PCT出願は、WIPOに予備審査行ってもらう制度で、これだけでは特許は取れない。
PCT出願後、一定期間以内に、各国特許庁へのその審査結果を元に国内移行をを申請すると、
WIPOの予備審査をベースとして審査してもらえるので、各国特許庁でスムーズに特許が取れるという触れ込みの制度。
ただ、WIPOは、こうやって毎年必死にPCT出願を宣伝してるが、割高で英語必須なので、実はあまり利用者がいない。
外国で特許を取るには、まず自国特許庁に自国語で出願し、優先権のある1年以内に、各国特許庁に翻訳して出願することもできるし、
自国特許庁をとばして、外国特許庁にいきなり出願する事も出来る(もちろん、いきなり現地語で特許願いを書く必要がある)。
日本企業の場合は、まずは、日本の特許庁に日本語で出願してから、翻訳して優先権を主張して外国出願するケースが大半。
従って、PCT出願のランキングには、大した意味はない。
例えば2007年のPCTランキングで、松下が2119件、Huaweiが追い上げて1369件と言われてるが、
US国内出願まで追跡すると、松下が1419件移行してるのに対して、Huaweiは468件に留まってる。
2008年にはHuaweiが抜いたはずだけど、US国内移行は松下931件に対して、Huaweiは238件だけ。
(但し、国内移行期限は30ヶ月なので、2008年分の国内移行件数はまだ未確定)
Huaweiは、PCTランキングを見て、世界一になれそうだと無理やり出願したとしか思えない。

また、松下と同業の他の日本企業について、同じように2007年のPCT出願からUS国内移行した件数を見ると、
ソニー:144件/日立製作所:49件/キヤノン:204件と、松下に比べて桁違いに少ない。
これは、実は、ほとんどの日本企業がPCT出願を嫌ってるだけで、アメリカへの直接出願件数を見ると、
ソニー:1840件/日立製作所:670件/キヤノン:2750件と10倍以上出願している。
要するに、PCT出願はあまり利用されておらず、ランキングは全く実態を反映していない。
利用者が少ないから、PCT出願して、ランキングをあげようと言う不純な会社が出てくる。
松下がPCT好きな理由は知らんが、Huaweiは明らかに不純な動機だろう。

・検索式
WIPO
http://www.wipo.int/pctdb/en/search-adv.jsp
(DP/2007.1.1->2007.12.31) AND (PA/"MATSUSHITA ELECTRIC INDUSTRIAL" OR PA/"PANASONIC CORPORATION") AND (NPCC/US)
(DP/2007.1.1->2007.12.31) AND (PA/"HUAWEI TECHNOLOGIES") AND (NPCC/US)
(DP/2007.1.1->2007.12.31) AND (PA/"HITACHI, LTD.") AND (NPCC/US)
(DP/2007.1.1->2007.12.31) AND (PA/"SONY CORPORATION") AND (NPCC/US)
(DP/2007.1.1->2007.12.31) AND (PA/"CANON KABUSHIKI KAISHA") AND (NPCC/US)
*末尾の"AND (NPCC/US)"がUS国内移行を示す、これを取るとPCT出願件数

USPTO
http://appft.uspto.gov/netahtml/PTO/search-adv.html
(APD/1/1/2007->12/31/2007) AND (AN/"HITACHI, LTD")
(APD/1/1/2007->12/31/2007) AND (AN/"SONY CORPORATION")
(APD/1/1/2007->12/31/2007) AND (AN/"CANON KABUSHIKI KAISHA")