総務省は14日、県内通信に限定されているNTT東西地域会社が県間サービスを行う場合、現行の認可制度
から届出制に見直す方針を固めた。「光の道」構想の取りまとめに盛り込んだ「活用業務制度」の規制緩和方針
に沿った措置だが、KDDIなど他の通信事業者は「加入線設備を独占したまま業務範囲の拡大を認めるのは
NTT再編の意義がないがしろにされている」と反発しており、制度見直しには曲折も予想される。
活用業務は1999年のNTT再編時にNTT法で規定された制度。県内通信の円滑な提供や公正競争に支障を
及ぼさないという条件で、NTT東西の県間サービスを審議会で検討した上で総務相が認可している。地域IP網の
県間接続や企業向けのIP電話などが実施されている。
同省は、今月招集される通常国会に提出するNTT法改正案に、活用業務の届出制への変更を盛り込む。届出制
になると審議会に答申する必要はなくなる。ただ、NTT東西が加入者回線のシェア約9割を占めている現状を考慮し、
事前に公正競争に支障がないかなどを検討する事前届出制とする方針だ。
15年に全世帯にブロードバンド(高速大容量)通信を普及させる「光の道」構想の実現に向けて検討していた総務省
の作業部会は、光回線部門の別会社化は「不確実性が高い」として採用しなかったが、社内での独立性の確保や
光回線の接続料引き下げを求めた。
その一方、固定電話加入者の減少が止まらない中、活用業務制度を規制緩和するのは、市場の環境変化や利用者
ニーズに対応できるサービス提供が収益の下支えに不可欠と判断したためだ。
ただ、例外措置であるはずの活用業務をいままで以上に柔軟に適用すれば、他事業者との競争は避けられない。KDDIの
小野寺正会長は「NTT法の本来の趣旨を形骸化する」と強く反発している。(芳賀由明)
SANKEIBIZ
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