財政難の大阪府が借金返済費用を抑えるため来年度から償還期限の短い公募地方債
(府債)など府債発行の多様化を検討していることが29日、分かった。府債の償還
期限は現在、5年以上に限定しているが、期限が長いと金利が高くなる傾向にあるため、
期限の短い府債を発行して金利負担を軽減する狙い。11月1日から総務部に「改革
チーム」を設置し、府債発行条件の検討を始める。
府によると、年間の府債発行額は約8千億円に達し、府債残高は2009年度末で
約5兆8千億円と年々増加。府債の返済費用は金利だけで年間700億円を超え、
府の財政を圧迫している。
財政状況がこのままの状態で進むと、16年度には財政破綻の懸念がある「早期健全化
団体」に転落する可能性がある。
現在、府債の償還期限は慣例により5年以上に限定し、5年債と10年債が大半を占める。
一般的に償還期間が長いと金利が高くなる傾向にあり、府は逆に金利が低くなる可能性
の大きい5年未満の償還期間の府債を発行することで資金調達コストを引き下げたい
という。
金利変動型の発行など府債の種類を多様化することも検討している。
自治体が発行する公募地方債は、その自治体の財政状態により金利格差が生じている。
例えば、大阪府と比べて財政状態が良いとされる埼玉県と、大阪府が今年9月の同時期
に発行した10年債の金利は、埼玉の方が約0.12%低かった。府は府債の多様化による
返済費用の圧縮で金利格差を小さくしたいとしている。
府の取り組みについて、米格付け大手スタンダード・アンド・プアーズの柿本与子主席
アナリストは「償還期間を短縮化すると、満期時に金利が急激に上昇していた場合に、
新規発行の金利負担が予想外に増えるリスクも生じる。府民は府債の発行状況について
注視すべきだ」と指摘する。
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http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819A91E0EBE2E19E8DE0EBE3E2E0E2E3E29391EAE2E2E2