大分県中津市の観光名所中津城が、福祉事業を展開している東京の会社に売却される
ことがわかった。
城を所有、管理する旧藩主・奥平家の関連会社中津勧業(奥平政幸社長)が売却先を
探していた。今月中旬に売買契約が結ばれ、売却後も観光施設としてこれまで通り
公開されるという。
奥平社長や売買を仲介した不動産会社によると、国内外の5社から打診があり、
観光施設として一般公開することを条件にしたところ、東京の会社と交渉がまとまった。
ただ、中津勧業は「売却先の会社についての詳細は現時点では明らかにできない」
としている。
同社は「財政的に維持管理を続けるのが難しくなった」などとして、2007年7月、
城と敷地(約2200平方メートル)を3億2000万円で売り出し、当初は中津市が
「城は城下町の大切な観光拠点」として交渉を進めていた。
しかし、城と敷地の合計で約1億4000万円とした市の鑑定に対し、中津勧業側は
約2億円としたため交渉は難航。今年6月、市は「建物の耐震診断を行い、安全性を
確認しなければ交渉は進められない。診断費用は市が負担する」と伝えたがまとまら
なかった。
中津勧業は10月初めに開く株主総会で報告する。売却金額は、1億4000万円を
下回ったという。城にある武具や絵画などは、奥平社長が東京の会社に貸し出す形で
展示を続ける予定。
奥平社長は「市民をがっかりさせないよう、今の形を継承してくれる会社を選んだ」
と話した。
【中津城】
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100925-749136-1-L.jpg 戦国武将の黒田如水が1588年に築いた。奥平家が1717年以降、城主を務めたが、城は1877年の西南戦争で焼失。天守閣を模した5階建ての建物は、
奥平家が1964年、中津市などの要請を受け約7000万円で建設した。豊前海に
注ぐ中津川河口付近にあり、「日本三大水城」の一つとされている。
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http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100925-OYT1T00612.htm