9月12日(ブルームバーグ):スイス・バーゼルで開かれた 国際決済銀行(BIS)
バーゼル銀行監督委員会は、 将来の金融危機を阻止するための国際的取り組みの一環として、
銀行に対する狭義の自己資本比率の最低基準を現行の2倍余りに引き上げ、新規制の完全適用までの
猶予期間を8年以内とすることで合意した。
バーゼル委員会は銀行に対し、リスク資産に対して普通株などの比率を最低でも4.5%維持するよう
義務付ける。同委の12日の発表資料によれば、状況悪化時に備えた上乗せ基準を2.5%とする。
この上乗せ基準を満たさない銀行は、資金調達を義務付けられることはないが、配当停止とされる。
銀行のリスク抑制を求める政治的圧力の下、監督当局は自己資本ルールの強化と、流動性に関する規定
などの新措置導入を進めてきた。
これに対し銀行は、規制案の緩和を図り政府などへのロビー活動を行い対抗した。1974年に世界各国が
金融システム規制を開始して以来最も厳しいものとなった今回の新ルールと比率により、
多くの金融機関は新株発行を迫られるほか、株主への還元を制限せざるを得なくなる見通しだ。
欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は発表資料で、「きょう合意したのは、世界的な資本基準の
抜本的な強化だ」と述べ、「これは長期的な金融の安定と成長に大きく寄与するだろう。
この移行に向けた措置により、各行は景気回復を支えながら新基準を満たすことが可能になる」
と説明した。
■Tier1比率は6%以上
バーゼル委は銀行の中核的自己資本(Tier1)比率については6%以上とした。
現行の最低基準は4%。
トリシェ総裁が議長を務めた会合にはバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長や
ベアー米連邦預金保険公社(FD IC)総裁、ターナー英金融サービス機構(FSA)長官、
キング・イングランド銀行(英中央銀行)総裁、ウェーバー独連銀総裁などが出席した。
バーゼル委の委員長を務めるウェリンク・オランダ中銀総裁は発表資料で、「資本の定義の大幅な厳格化や
最低基準引き上げ、新資本バッファーの導入が相まって、銀行は経済・金融上のストレスがかかる時期を
乗り切りやすくなるだろう」と述べた。
各行は5年以内に自己資本比率の最低基準を満たし、上乗せ基準については2019年1月1日が
期限となる。また各国は13 年1月までに自国ルールに同規定を採用するとされた。
事情に詳しい関係者4人が先週明らかにしたところによれば、移行期間をめぐっては米国、英国、
スイスが最長5年間を主張。ドイツは10年を求めていた。
12日の決定によってバーゼル委は、11月にソウルで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議に提出する
改革案の取りまとめ作業をほぼ終了した。バーゼル委は今月21、22両日に再び開催される予定で、
作業完了に向け10月に会合を開く可能性もある。
ソースは
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aqWhONoAhJOI