◆「働き方の一つ」定着を期待
ネット上の有害情報などを監視する作業を、障害者の仕事として事業化する試みに、インターネット・コン
サルティング会社とNPO法人が取り組んでいる。働く意欲があるのに、体が不自由なために通勤できず、
仕事の機会が狭められている現状の中、働き方の選択肢が増えると期待されている。
事業化を進めているのは、インターネット・コンサルティング会社のビー・ナチュラル(中央区日本橋本町)と、
NPO法人「障がい者就業・雇用支援センター」(千代田区神田佐久間町)。
最近は、携帯ゲームなどの会員制交流サイト(SNS)や自己紹介サイト(プロフ)、ブログなどの「非出会
い系」と呼ばれるコミュニティーサイトでの書き込みに、未成年売春の誘いや金銭詐欺などが増えている。
こうした有害情報を取り除こうと、問題のある言葉を検閲するソフトも開発されているが、暗号化などの
すりぬけ方法が考え出され、対応しきれていないのが実情だ。
そこで、ビー・ナチュラル社長の林俊樹さん(54)が「在宅で、日頃からパソコンを使用する機会が多い障
害者に手伝ってもらえるのではないか」と考えた。最後は、人間の目が頼りとなる監視・検閲業務を、障
害者スタッフに24時間体制で行ってもらおうというものだ。以前はゲームの開発もしており、ゲームユーザ
ーたちに安心して書き込みをしてもらいたいという責任も感じていた。
また、100人近くの障害者の就労を支援してきたセンターも「働く意欲のある人にチャンスが増える」と協
力を決めた。事務局長の三浦眞さん(48)によると、一部試験的に始めたところ、「無理なく働ける」と好
評だという。
まず、ビー・ナチュラルが企業から受注し、障がい者就業・雇用支援センターが働き手を確保する。ビー・
ナチュラルは、セキュリティーを確保しつつ、簡単な操作で障害者が作業できるソフトも開発していくという。
当初の目標は「ビジネスとして利益を出すこと」だ。10月から大手ゲーム会社「サミーネットワークス」の掲
示板の監視を任せられることが決まり、3人の障害者スタッフで始める。数万円から十数万円の月収を見
込んでいる。
林さんは「今は持ち出しが多いが、社会的意義のある事業として続けていきたい。将来的には障害者
の働き方の一つとして定着してほしい」と話している。
■ソース
asahi.com(
http://www.asahi.com/ )[2010年08月29日]
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000001008300001