米Intel(インテル)社は、ドイツInfineon Technologies社から買収する予定の無線チップ部門について、
独立した事業部門として運営するという。買収契約について発表した記者会見の中で、Intel社の幹部
がその詳細を明らかにした。
この無線チップ部門の従業員は約3400人で、そのうち1600人がドイツ国内で勤務している。Intel社の幹
部によれば、莫大な資金とリソースを無線チップ部門に投入することにより、市場におけるリーダー的地位
の確立を目指すという。ただしチップの製造は、少なくとも初期の段階ではInfineon Technologies社の現
行体制に従い、ファウンドリを利用するという。
またIntel社の幹部は、「この無線チップ部門を独立運営することにより、独自の販売力を生かして、既存
の顧客企業との関係を維持しながら強化していきたい」と強調した。
Intel社のシニアバイスプレジデントであり、Ultra Mobility Groupのジェネラルマネジャーを務めるAnand
Chandrasekher氏は、「当然のことながら、Intel社のプロセッサだけでなくARMアーキテクチャのアプリケー
ションプロセッサにも対応していくつもりだ。
この無線チップ部門は、Intel社のArchitecture Groupの管理下にある独立した事業部門として運営する。
こうすることで、無線チップ部門が独自に培ってきた社内文化をできる限り維持していきたい」と述べている。
さらにChandrasekher氏は、「Infineon Technologies社の無線チップ部門は現在、さまざまな要因が重
なり、他社に追随する位置づけにとどまっている。このため、追随者から挑戦者へ、そして最終的には市
場リーダーへと段階的に成長させる戦略を進めたいと考えている。この移行戦略の実現に向けた第一歩
として、まずはLTE技術を市場に迅速に提供したい」と付け加えた。
Infineon Technologies社の取締役会メンバーで、無線チップ部門の責任者を務めるHermann Eul氏は、
無線チップ部門がIntel社に売却された後もその役職を継続する予定だ。
同氏は、「製造戦略や製品の製造に関しては、これまで主にファウンドリを利用してきた。ファウンドリにとって
重要な顧客企業だ。特に台湾のファウンドリ企業に、大量に製造を委託している。われわれは、こうした戦略
を継続するつもりだ。ほとんどの無線チップの品質が、さまざまなファウンドリ企業によって保証されている」と述
べた。
同氏はさらに、「将来的には、Intel社独自の優れた製造技術を活用して、さらなる発展の可能性を検討
していきたい」と付け加えている。
Chandrasekher氏は、「Intel社は、これまで数々の買収を行ってきたが、その中で期待していたほどの利
益を生み出せなかったケースから教訓を得ている。今回買収する無線チップ部門を、独自の販売力を備
えた独立事業部門として維持することにより、今度こそ優れた事業を展開できるはずだ」と主張する。
同氏は、無線チップ部門への投資額や、ドイツ国内および各国拠点の従業員の増員数などについて、詳
しい数字を明らかにしなかった。ただし、Intel社が前回、ネットワーク通信事業への参入を手掛けて失敗し
たことについて触れ、「とにかく前進あるのみだ」と語った。
■ソース
EE Times Japan(
http://www.eetimes.jp/ )[2010/09/02]
http://www.eetimes.jp/news/4213