◇登録料と超過分課金
名古屋市で10月から2カ月にわたってコミュニティーサイクル「名チャリ2010」の社会実験が行われる。
過去3回、無料貸し出しの実験をしており、今回は将来の本格導入を見据えて初めて登録と一定
時間の超過利用を有料化して需要を調査する。近く事前登録が始まる予定だが、そもそもコミュニテ
ィーサイクルとは何だろう?【高橋恵子】
名チャリ2010は市や名大大学院などで作る実行委員会が主催。名駅−栄間に30カ所の自転車
貸し出し・返却用のステーションを設置し、300台を貸し出して利用実態を調べる。
名チャリが目指すコミュニティーサイクルは、サービス提供領域内にステーションを細かく配置し、登録す
ればどこで借り、どこで返してもいい。長時間借りて目的地を巡ってから返却するレンタサイクルと違い、
目的地近くのステーションでいったん自転車を手放すのが特徴。用事が済んだら再び借りる。
先進地のパリなどでは、30分以内の利用は無料で、それ以上乗るとペナルティー的に課金される。
ステーション間を短く乗り、1台をたくさんの人で共用するのが魅力だ。
名チャリは、二酸化炭素(CO2)排出量削減▽放置自転車の削減▽回遊性の向上−−の3点を
コンセプトに、名古屋大大学院環境学研究科の竹内恒夫教授の研究室が07年に実験をスタート
させた。長距離移動は地下鉄などの公共交通で行い、その後の足を自転車が担えれば、車の利用
を減らせる。徒歩より身動きしやすいため、利用者に「もう一店買い物に行こう」などという気持ちがわ
けば、街の活性化にもつながる。
初回の実験は、矢場町周辺に13日間、5カ所のステーションを置き、1台が1日に利用された回数は
平均1・16回。昼借りて夕方返すレンタサイクル的な利用形態だった。
08年から市が協力を始め、09年は2カ月間にわたる大規模な実験を行った。ステーションを名駅−栄
間の30カ所に拡大。登録者数は3万794人に上り、9万8846回の貸し出し実績を作った。利用法
を周知した効果で、1台の1日利用回数は5・49回へと大幅に伸びた。特に、後半は1日8〜9回転も
し、平均利用時間も約30分に収まるなど、当初の趣旨に沿った利用ができた。
また、平日の利用が多く、会社訪問や買い物など日常の足としての需要があることも証明された。
今年の実験は、将来的に採算の合う事業として成り立つか検証するため、パリのように登録料を徴収し、
一定時間を過ぎたら課金する。人件費を抑える目的でICカードを使うセルフサービス方式を採用。登録
済みカードをかざすだけで自転車を取り出すことができる専用スタンドを配置する。精算は後日、カード
につないだクレジットカードから引き落とされるため、手間はかからない。
名古屋市自転車利用課の松村豊重主査は「有料にしても利用が多ければ、本格導入の後押しにな
る」と話している。
■ソース
毎日jp(
http://mainichi.jp/ )[毎日新聞 2010年8月29日 地方版]
http://mainichi.jp/area/aichi/news/20100829ddlk23010111000c.html