安定した運用成果を残す国内債券に資金が流入している。中国の日本国債買いが
話題になったばかりだが、外債投資や株式への投資で過度なリスクを取ってきた
個人投資家も、欧州財政懸念や世界的な景気減速を背景に為替や内外株価の変動
リスクを意識。
投資信託などを通じて債券投資が顕在化している。日経平均が年初来安値を更新
するなど株価の先行きをめぐる不透明感が増すなか、機関投資家に加えて個人
投資家の消去法的な債券投資は、国内需給を一段とひっ迫させる要因との見方が
出ている。
■CDSは株安/債券高に反応薄、ヘッジ需要乏しい
25日のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、指標となる
iTraxxJapanシリーズ13のプレミアムが115.5ベーシスポイント
(bp)と、115bpと前日引け(115bp)付近で推移するなど、株安
/債券高の動きに反応薄となった。「国内普通社債(SB)の需給が良好で、
リスクヘッジの需要が乏しいことが背景にある」(大和証券キャピタル・マーケッツ
・金融市場調査部クレジットアナリストの松坂貴生氏)という。
■円債の安定性を再評価、機関投資家が積極投資
消去法的な日本国債買い、言い換えれば日本国債の安定性が意識された象徴的な
出来事だ──。中国が今年1─6月に1兆7000億円余りの日本国債を買い越した
ことに関連して、ある債券運用担当者はこう話す。世界的な景気減速懸念が広がる
中で、欧州は国家財政や銀行債務、米国は国家財政や地方財政、不動産、雇用など
信用不安に直結するような問題を多く抱えるのに対して、日本は国家財政への懸念が
あるものの、大きな信用不安を招く問題は今のところ見当たらない。「日本経済は
急成長がないかもしれないが、ダメなりに、そこそこのパフォーマンスを稼いでいる」
(同)ことが円債投資の魅力になっている。
日証協が発表した7月公社債投資家別売買動向によると、メーンプレーヤーの都銀は
8497億円の買い越し。買い越しはギリシャ財政問題が深刻化した5月から3カ月
連続で、その買越額は5兆4291億円と5兆円を超える。また、財務省の8月8日
─14日の対外対内証券売買契約等の状況(週次ベース)によると、海外勢は対内
中長期債を2191億円買い越した。買い越しは6週連続となる。
■債券型投信に資金流入、個人は株安/円高でリスク慎重姿勢
機関投資家に加えて個人投資家も国内債券投資を進めている。株式投信や外債の
投資を積極化していた個人投資家が株安・円高で痛手を被り、安全志向を強めている
ためだ。
ニッセイアセットマネジメントが運用する追加型投資信託「ニッセイ日本インカム
オープン」。投資対象は日本の債券で、組み入れ資産の約9割を社債が占める。
7月末の純資産残高は1156億円だが、ギリシャ財政問題が連日報じられるように
なった春ごろから残高が急速に増加。4月以降の資金流入額は1000億円を超えた。
同社の投資信託部門営業統括部長の上原秀信氏は「ギリシャ・ショック後の円高や
株安の流れを目の当たりにした投資家が、リターンを抑えてまでも資産の安定性を
求める動きが出てきたのではないか」と話す。
※続く
◎ソース
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-16936620100825?sp=true >>1の続き
■国内債券は他資産を上回る運用成果、投信に新規設定も
ニッセイアセットによると、投信設定日(2006年9月29日)を100とした
場合の資産別パフォーマンス(注)は7月末現在、国内債券が110.67、海外
先進国債券が91.11、国内株式が56.09、海外先進国株式が67.91。
国内債券は2007年8月のバリバ・ショックや2008年9月のリーマン・ショック
で金融市場が大きく動揺した局面でも他の資産に比べて優位性を維持し、ほぼ安定的な
右肩上がりの運用成果を実現している。
個人投資家の安全志向の高まりを受けて運用各社とも相次いで国内債券ファンドの
設定に動いている。いずれも運用対象に一般債や海外債券先物などを組み入れる
ことで、国債利回りプラスアルファーの運用成果を目指すスキームだ。
日興アセットマネジメントは国内地方債を中心に投資する追加型投信「日本公共債
ファンド2020」を7月23日に新規設定した。「地方債を含む国内債券は為替
リスクがないことなどから、海外の債券に比べて相対的にリスク(値動き)が小さい。
ファンドを償還まで保有した場合に定期預金と比較して相対的に高い水準の利回りが
期待できるため、投資家需要を取り込めると判断した」(広報部)という。
市場では、先進国の期待インフレ率低下などを背景に低金利局面が長期化するとの
観測が浮上している。「機関投資家・個人投資家ともリスク資産投資に対して、
デレバレッジの動きを進めている。当面、日銀への追加緩和圧力や過度なリスク資産
投資にナーバスな展開が続くことを踏まえると、債券需給が急激に緩むことも想定
しにくい」(国内金融機関)との声が出ている。
(注)資産別パフォーマンス比較で参照したインデックスは国内債券がNOMURA
─BPI総合指数、海外先進国債券がシティグループ世界国債インデックス(除く
日本、円ベース)、国内株式がTOPIX、海外先進国株式がMSCI KOKUSAI
指数(円ベース)。
◎関連スレ
【為替/投資】個人投資家、円急伸でも外貨買い継続 FX取引 [08/25]
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1282738810/ 【投資】25日の債券市場、国債利回り 0.9%割り込む--およそ7年ぶり [08/25]
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1282715747/