就職浪人が全国で推定約11万人に上るなど、厳しい就職戦線が続く中、
企業が実施するインターンシップ(就業体験)に参加を希望する学生が
急増している。東海地方ではこの夏、前年に比べて希望者が4〜5割増えた
大学がある一方、受け入れをやめる企業も出ており、就職活動の前哨戦も
狭き門になりつつある。危機感を募らせる学生たちは、現場の空気に触れ、
少しでも就職活動を有利に進めようと懸命だ。
「ソムリエの人と一緒に仕事ができて、ホテルへの志望が固まりました」。
名古屋観光ホテル(名古屋市中区)のレストランで今月16日、2週間の
インターンシップを終えた名古屋商科大3年、松野友樹さん(20)は、
吹っ切れたような表情を見せた。赤字で「研修生」と書かれた名札を胸に、
ウエーターとして勤務。「疲れたが、指示される前に、自分で考えて
行動できるようになりました」
イメージと実態の違いに、方向転換を決めた学生もいる。愛知学院大3年、
竹内実紀さん(20)は、現場の社員から「モーニングの担当の時は
前日から泊まり込みで、2時間も寝られればいい方だよ」と聞かされ、
「別の業種にしよう」と思い直した。人事課の阪口隆治担当課長(46)は
「ホテルで働くのは思った以上に体力が必要。実態を知った上で、関心を
持ってもらえれば」と言う。
■4〜5割増も
就職情報サイト「マイナビ」が昨秋、来春卒業を予定している学生2005人に
モニター調査したところ、48・7%が「インターンシップに参加した」と回答。
5年前の調査(25・7%)に比べ、大幅に増加した。
東海地方の大学でも、参加を希望する学生は、椙山女学園大が前年比5割増の
226人、愛知大が同4割増の643人、名古屋学院大が同4割増の216人
などと、軒並み増える傾向にある。
前年の633人から777人に増えた中京大キャリアセンターでは「先輩たちが
内定を取るのに大変な思いをしている姿を見て、今年は早い段階から焦り始めた
学生が多い」と分析する。
■求人票と一緒に
一方、インターンシップの受け入れ企業は、名古屋学院大が昨年の85社から
73社に、愛知大が176社から141社に、中京大が144社から112社へと、
減少傾向にある。
学生に企業を紹介している東海地域インターンシップ推進協議会(名古屋市中村区)
には2008年度、165社が登録したが、昨年度は63社に激減し、今年度も
昨年度並みの低い水準。受け入れをやめた企業は「人繰りに余裕がない」「採用に
直結せず、企業PRの効果が少ない」などと説明しているという。
大学側も「求人票と一緒にインターンシップも依頼している」(金城学院大)、
「第1希望のインターンシップに漏れた学生には別の企業を紹介する」(愛知大)
など、きめ細かな支援をしているが、就活生にとっては厳しさが増す形となっている。
●ホテルのレストランで就業体験をする学生たち
http://alp.jpn.org/up/src/normal1403.jpg ◎ソース
http://chubu.yomiuri.co.jp/news_top/100825_1.htm