県畜産研究所酪農研究部(恵那市)が、性別判定した乳牛の受精卵を急速凍結させて移植し、
雌の乳牛だけを出産させる手法の実用化に成功した。
雄を不要とする酪農家にとって、雌だけが生まれれば経営効率化につながりそうだ。
受精卵を別の雌牛の子宮に移植する受精卵移植は、優秀な牛の生産に有効とされる。
雌だけを産ませるには、受精卵の一部を切り取って遺伝子から性別を判定した上で
雌の受精卵だけを移植する。
受精卵はいったん凍結し、移植の際に解凍するが、一部が切り取られた受精卵は、凍結に
2時間ほどかける一般的な緩慢凍結法だと、受胎率が20%程度に低下するのが課題だった。
このため研究所は、人間の不妊治療などで使われる、受精卵を液体窒素に触れさせる
超急速ガラス化保存法を採用。実験の結果、受胎率が普通の受精卵移植と同レベルの
52・8%へと飛躍的に改善した。
研究所はこの技術の実用化のために、アメリカとカナダから高能力牛の受精卵を輸入して増産。
これらの牛にホルモン処理をして卵子を6〜8個作らせ、雌だけの受精卵を年間約50個
販売することを可能にした。
販売された受精卵は2008年度から2年間で56頭に移植され、半分の28頭が受胎。
実用段階でも50%の受胎率を確保した。
受精卵を性別判定して移植する技術は、他県でも研究されているが、量産レベルでの実用化は
初めてだといい、研究所の林登主任専門研究員は「牛の改良促進と経営改善に貢献できる」
と話している。
ソースは
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20100824/CK2010082402000117.html 雌雄を判別した受精卵移植で誕生した雌の子牛=恵那市で
http://www.chunichi.co.jp/article/gifu/20100824/images/PK2010082402100059_size0.jpg