衛星など日本の宇宙産業の海外展開拡大を目指し、初の官民合同セールスチーム
(団長、西村知典・NEC執行役員常務)が23日、ブラジルなど南米に派遣された。
宇宙産業の海外展開は政府が6月にまとめた新成長戦略の柱の一つで、官民一体で
受注拡大を目指す。衛星などへの需要は新興国を中心に拡大が見込まれるが、
日本勢は高い技術力を持ちながら、民間がバラバラに取り組んでいることも影響し、
海外受注で米欧メーカーに大きく出遅れている。官民一体でどこまで巻き返せるか
注目される。
■衛星打ち上げなど08年は15兆円市場
経済産業省によると、衛星製造や打ち上げなど世界の宇宙産業にかかわる市場は
03年の約7兆7100億円から08年には約15兆円とほぼ倍増。毎年平均14%
前後で伸びている成長市場だ。今後は、アジアや南米、アフリカなど宇宙事業を
今後本格化させる新興国向けに地球観測衛星や通信・放送衛星などの需要拡大が
見込まれている。
菅政権は6月に打ち出した「新成長戦略」の目玉として、インフラの海外輸出を
20年までに約20兆円に拡大する方針を表明。経産省は原子力発電などと並んで
地球観測衛星の輸出など日本の宇宙産業の海外展開を公的金融による支援や官民
連携のセールス強化などで強力に後押しする構えだ。
具体的には、衛星製造から打ち上げ、衛星を利用したサービスの展開、運用のための
人材育成までを一体的に「パッケージ」で海外に供給できる体制を構築。15年には
海外向けに年間5〜10機の衛星を受注することを目指している。
■データ処理など利用技術も強調
この戦略の試金石となるのが、今回の南米への官民合同セールスチームの派遣だ。
チームはNEC、三菱電機、三菱重工業、IHI、日立製作所など民間企業12社に
加え、宇宙航空研究開発機関(JAXA)など政府関係機関5団体、経産、文部科学、
総務の3省担当者で構成。米欧企業などと衛星の共同開発実績を持ち、経済成長に
伴うインフラ整備で需要拡大が見込める南米のブラジル、アルゼンチン、ペルーの
3カ国を9月2日まで2週間弱の日程で訪問。日本の技術力の高さなどをアピールする。
特に、日本が得意とする気象衛星や資源探査など地球観測衛星の売り込みに期待を
かけており、経産省は「これまで民間企業は南米各国へのチャンネルが細かったが、
今後は日本政府が仲介役として売り込みを後押しする」と張り切る。官民チームでは、
日本製衛星の性能の高さのほか、地上管制システムやデータ処理など衛星利用技術
での優位性も強調し、受注への布石作りを狙う。
チームのメンバーの三菱電機は「政府と連携し、人工衛星の海外拡販につなげたい」
と期待。特に日本の衛星を活用し、ジャングルの違法伐採監視や二酸化炭素測定など
を共同研究するブラジルや、アンデス山脈の氷河の監視や資源探査などを実施中の
ペルーについて、これら国家間協力をテコに受注につなげたい考えだ。
※続く
◎ソース
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100824k0000m020081000c.html >>1の続き
■軍需優位、欧米企業が独占
通信衛星など宇宙関連の世界市場は現在、ロッキード・マーティンやボーイングなど
米国勢や、エアバスの関連会社「EADSアストリウム」など欧州企業がほぼ独占
してきたが、最近では、中国企業もブラジルに売り込み攻勢をかけるなど、競争が
激化する兆しを見せている。米欧企業は、軍需・航空分野での優位を背景に人工衛星
の製造からロケットでの打ち上げ、地上管制システムの運用まで総合力が売り物。
そのうえで、政府の強力な後押しも受けて、海外市場を開拓している。
これに対して、日本勢はNECや三菱電機が衛星の製造、IHIは衛星を軌道に
乗せるためのロケットのエンジン関連、三菱重工業はロケットの製造・打ち上げ、
日立製作所は地上管制システムの運用と主力分野が各企業にまたがる。このため、
個々の企業の技術は高くても、衛星関連事業を一体的に提案する力に欠け、世界的な
宇宙ビジネスでは、欧米の大企業に「部品」を供給する役回りに甘んじてきた。
実際、衛星製造から打ち上げ、地上管制まで「パッケージ」で衛星を輸出した実績は、
三菱電機がシンガポール企業などから通信・放送衛星を受注した2件など数えるほど。
日本が得意なはずの地球観測衛星の輸出実績はゼロだ。
背景には、単品受注を中心とした「国内官需に依存してきた」(ある企業担当者)
こともあるという。
◎元スレ
【官庁】経産省、宇宙関連の"全日本チーム"結成、南米へのシステムやインフラの輸出拡大狙う [08/13]
http://toki.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1281683162/