IT(情報技術)サービス大手の伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)は16日、ネットワーク経由でソフトウエア
などを利用する「クラウドコンピューティング」の利用状況を体感できる企業向けサービスを月内にも開始する
ことを明らかにした。サーバーなどの専用機器を使ってクラウドサービスの利用環境をあらかじめつくっておき、
クラウドの導入を検討している企業の担当者が実際に体感できるようにした。クラウドに使う機材などを
展示したショールームは多いが、実際の利用環境を用意するのは珍しいとしている。
新サービス「アドバンスド・エクスペリエンス・サービス(AES)」は、CTCが東京都千代田区に保有する
IT製品の検証施設「テクニカルソリューションセンター(TSC)」で提供する。TSCに、クラウドに必要な
サーバーなどの機材を集めた専用のラックを設け、これを使って実際と同様のクラウドサービスを構築する。
このサービスを使い、30人超の専門エンジニアが製品やサービスなどについて説明するほか、実機を使った
体感型のデモンストレーションなどを行う。
サービスメニューは、クラウドをベースにして、データセンターに複数のサーバーを設置して通信網でつなぐ
「仮想化」など、関連した11種類のデモンストレーションを用意。利用者の反応をみた上で、人気のある
サービスを拡充してメニューを2倍超にまで増やす計画だ。月間10社程度の受け入れを計画し、
サービス利用は無料。
CTCはこれまでも、個別にクラウド環境を用意してデモンストレーションを行うことがあったが、利用状況を
用意するには最低でも1〜2週間かかっていた。顧客企業からクラウドに対する問い合わせが増えていることを
受け、より迅速な対応をするため専用サービスの立ち上げを決めた。
プロダクトプロモーション部の宮坂秀一部長は「実際に体感してみれば受注に結びつくケースが多くなる」と
新サービスによる拡販効果に期待している。
クラウドは、ITの新たな利用形態として国内外で利用が進んでおり、米調査会社IDCによると、国内の
クラウド市場は2008年の約490億円から13年には1520億円に達するとみている。IT各社は成長市場の
取り込みに向けて対応を強化しており、サービス競争の激化は必至だ。
▽ソース:SankeiBiz (2010/08/17)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100817/bsb1008170500002-n1.htm