大部分は他愛もないできごとや、そのときどきの感情をつづっただけに見える
ネット上の書き込み。だが塵も積もれば大きな山が見えてくる?
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日々、膨大な量の書き込みや"つぶやき"が生まれては消えていく昨今。
そうしたブログやツイッターの情報を収集・分析することで、未来予測に
つなげようという研究が行われている。
グーグルの研究者たちは1年ほどまえに、自社の検索エンジンのデータを
市場予測に応用し始めた。車や不動産に関するキーワードの検索頻度が、
実際の売り上げと高い相関関係を示すことを発見したのだ。
また2008年の米大統領選では、米カーネギー・メロン大学の研究者たちが
オバマとマケイン両候補に関するつぶやきを収集し、世論調査に近い結果が
得られることを突き止めた。精度がさらに上がれば、世論調査よりも安上がりで
迅速な調査が可能になると期待されている。
最近ではこうしたネット上の分析を、株価の予想につなげる研究も行われている。
米イリノイ大学の研究者たちは、約2000万件のブログ投稿をもとに金融市場の
ムードを予想する「不安心理指標」を作り上げた。そして実際、この指標が
下がったときには米国の平均株価も下がるという傾向が見られた。
この指標は、投資家たちの"気分"をより的確に捉えることができるとされ、
研究者のもとにはヘッジファンドからの問い合わせも来ているという。
とはいえ、コロンビア大学で投資行動の心理的影響について研究している
ポール・テトロックは言う。
「ブログやツイッターで不安なことばかり書いている投資家が、実際の売買に
おいて反対のリスクをとることもあるのです」
考えていることとつい真逆の行動をとってしまう。そんな複雑な人間心理の
解明が今後、未来予測の精度を高めるカギとなるかもしれない。
◎ソース ニュー・サイエンティスト(UK)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/943