原発や鉄道など、社会インフラで海外市場を狙った日本企業の連合が、
続々と動き出している。
7月6日、東京電力、関西電力、東芝、日立製作所など6社は、海外で原子力発電を
売り込む新会社の準備室を共同で設置した。今後は政府も出資し、秋にも新会社
「国際原子力開発(仮称)」を設立。まずはベトナムでの第2期原発計画の受注を目指す。
昨年12月以降、日本企業は海外の原発案件で連敗。UAEでは政府の強力な支援を
受けた韓国勢に敗れ、ベトナムでは潜水艦をセットにしたロシア企業に奪われている。
そもそも日本の原発ビジネスは東芝、日立、三菱重工業の3社が競い合っており、
政府が一社を支援しづらい状況にあった。加えて「新規の原発導入国では運営まで
面倒を見る必要がある」(原発関係者)が、ノウハウを持つ国内電力会社は海外案件には
消極的。危機感を募らせた経済産業省などが、“日の丸連合”創設を働きかけてきた。
これに対し、呉越同舟を懸念する声もある。
国の支援といっても、税金投入などには限界がある。それでも、原発ビジネスを始める
には国家間で原子力協定を結ぶ必要のあるインドのように、民間だけでは勝負の土俵に
上がれないのも現実。メーカー側も「新興国では国、電力、メーカーが協力するスキーム
が必要」(東芝・佐々木則夫社長)と歓迎する向きが強い。
■民民連合も相次ぐ
ライバルと手を組む動きは原発だけではない。
日立と三菱電機、三菱重工は5日に水力発電システム事業での統合を発表。日立と三菱
重工は6月末に海外の鉄道事業でも提携している。
新興国の経済成長や地球温暖化対策などを追い風に、原発を含めた電力、鉄道など社会
インフラ市場は世界的に活況だ。価格勝負の民生機器に比べ、技術力が生かせると
日本メーカーの期待は大きかった。
だが、実際には資金調達から保守・運営まで提供できる総合力が必須で、この分野で
日本企業は劣勢にある。
水力発電では、仏アルストムなど欧米3社が世界市場の過半を占め、日立と三菱2社は
合計してもシェアは3%程度。鉄道でもカナダのボンバルディア、独シーメンス、
アルストムの規模は日本メーカーの約5倍と、まだまだ彼我の差は大きい。
日立の鈴木學常務は「2社を合わせても鉄道ビッグ3には達していない。戦える
リソースを持ちたい」と連合拡大も否定しない。
経産省は最近、同一産業内に国内メーカーが多すぎることが世界市場で勝てない理由
との見解を示し、業界再編を後押ししている。海外市場を見据えた国内再編は今後も
加速しそうだ。
◎ソース
http://www.toyokeizai.net/business/industrial/detail/AC/d7435ccc389dd9a9fc8234fed32464ff/page/1/