新興国の旺盛な鉄鋼需要を背景にした鉄鉱石などの原料価格高騰を受け、
国内企業が対応を急いでいる。デフレに伴う根強い消費者の低価格志向で、
コスト上昇分を製品価格に簡単には転嫁できないためで、鉄鋼会社は
製鉄過程で出る“ゴミ”をリサイクルしたり、メーカーは安価な海外製鋼材の
調達を模索したりと、あの手この手で難局を乗り切ろうとしている。
5月、新日本製鉄と神戸製鋼が建設計画を発表したリサイクル施設。従来は廃棄処分
対象だった「製鉄ダスト」から鉄鉱石の代わりになる「還元鉄」を製造する施設だ。
ただ、日本の年間鉄鉱石輸入量約1億1500万トン(09年度)に対し、施設の
製造量はわずか15万トン。新日鉄幹部は「やれることは全部やるしかない」と話し、
自力で安い原料調達に努めると強調する。
鉄鉱石価格の高騰は激しい。7〜9月期の価格は09年度比で約2.4倍の1トン
=約147ドル。メーカーが鉄鋼会社から購入する際の鋼材価格も高騰し、新日鉄と
トヨタ自動車は先月、上期(4〜9月期)の価格を1トン当たり1万9000円強の
値上げをすることで合意。前年度に比べると25%のアップだ。
■自ら鉱山開発」
鉄鉱石価格の高騰は新興国の需要増が主な要因だが、供給側の世界資源大手による
寡占化も背景にある。このため、鉱山権益の確保を強化して対抗しようという動きも
活発化している。海外での鉱山権益確保に注力するJFEスチールの林田英治社長
(日本鉄鋼連盟会長)は「日本の鉄鋼会社が生き残るには、自ら鉱山を開発する
しかない」と話す。
大手商社の住友商事は1日、ブラジルの鉱山会社ミネラソン・ウジミナスに
約1700億円を出資し、約30%の株式を取得すると発表。日本の鉄鉱石輸入の
1割弱にあたる年間約900万トンの権益を獲得する。ブラジルの資源大手ヴァーレと
英豪系資源大手のリオ・ティント、BHPビリトンの3社による寡占に対抗し、
「日本への安定供給源の一つにする」(住商)狙いだ。
自動車などメーカー側では、鉄鋼会社製から価格が安い電炉メーカー製鋼材に
乗り換える動きも始まった。電炉メーカーは鉄鉱石などの代わりに鉄スクラップを
原料にするため、鋼材価格は鉄鋼会社より2〜3割安い。以前に比べて品質も向上
しており、車体の中核部品以外の鉄については置き換えが可能になっている。
電炉最大手の東京製鉄には、トヨタや日産自動車などの系列部品メーカーからの
問い合わせが急増。「部品メーカー1〜2社に自動車用鋼板を納入していたが、
今後5〜6社に納入する」という。
調達先の多様化を視野に入れるメーカーもある。船舶大手の三菱重工業は、中国製の
安い鋼材を錨(いかり)などにこれまでも使ってきたが、他の部分も海外製鋼材で
代替できないか検討中だ。大宮英明社長は「このまま原料高が続けば立ち行かない。
海外の鋼材も質が良くなり、重要部品以外なら使える」と話す。
◎ソース
http://mainichi.jp/select/biz/news/20100718k0000e020018000c.html ◎関連スレ
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http://anchorage.2ch.net/test/read.cgi/bizplus/1279009518/