カナダ・モントリオールで開会中の国連生物多様性条約の作業部会は16日、
動植物や微生物などの遺伝資源の利用と利益配分の国際ルールを定めた
「名古屋議定書」の原案を作成し、閉幕した。原案は、企業などが遺伝資源を
取得する際、提供国の事前同意を取ることや、生じた利益を提供国に公平に
配分するよう義務づけた。しかし、各国は遺伝資源の対象範囲や具体的な
手続きで対立。10月に名古屋市で開かれる同条約第10回締約国会議
(COP10)で協議し、議定書案の採択を目指す。
各国に自国の資源に主権的権利があると規定した条約が発効して18年目。
遺伝資源を提供する途上国と、開発する先進国の間で取得の手続きや利益配分を
めぐる対立が続いた。02年に自主規定が作られたが、途上国は法的拘束力のある
議定書の策定を求めてきた。
原案によると、生物多様性の保全と持続可能な利用を目的に、遺伝資源の利用から
生じる利益を公平配分すると規定。遺伝資源を取得する際、提供国の法制度に従い
事前同意を取り利用料などの契約を結ぶ。各国は担当窓口を設置し、生じた利益は
多様性保全に役立てることを求めた。事務局は提供国の事前同意に関する情報が
共有される仕組み「クリアリングハウス」を作る。
しかし、適用範囲では、途上国が微生物から派生する化学物質の利用についても
利益還元を要求したが、先進国は遺伝資源に限ると主張。原案の多くが保留された。
◇遺伝資源◇
微生物や植物の種など人に役立つ、または可能性のある遺伝子を持つ生物。
医薬品や食品、化粧品などの開発に利用され、その売り上げは世界で
年間45兆〜70兆円と試算されている。抗生物質「ペニシリン」の元は
アオカビだった。
◎ソース
http://mainichi.jp/life/today/news/20100717k0000e040021000c.html