[ワシントン 15日 ロイター] 米通商代表部(USTR)のマランティス次席代表は15日、
米国の輸出を阻み、外国企業を不公平に扱う中国の貿易政策は、米中関係に危険な圧力をかけていると
警告した。
同次席代表は講演で「中国が世界貿易機関(WTO)に加盟してから10年近く経過している。
同国がこれまでに確約してきたことを実行に移し、新たな市場アクセスを提供しても良いころだ」とし
「これらが実現できなかった場合、米中関係だけでなく、多角的貿易交渉をも危険にさらすことになる」
と述べた。
その上で、米国は自国の貿易権を守るため、中国との貿易問題を必要に応じて
新たにWTO提訴に持ち込む準備があると警告した。
米議員の間では、中国当局が人民元の対米ドルでの一段と急速な上昇を容認しない場合、同国に対し
相殺関税などを課すことを可能にする法案の成立を要求する動きが出ている。
中国は6月19日に人民元相場の弾力性を強化するとの方針を示したものの、その後の人民元相場の
対米ドルでの上昇率は0.70%と、小幅にとどまっている。
マランティス次席代表は人民元問題については触れなかったものの、会場からの質問に答える形で、
オバマ政権はこの法案についての立場を表明していないと述べ、人民元相場が急速に上昇しなかった場合、
米国が対中関税を導入する可能性について含みを持たせた。
また、中国政府は外国企業を犠牲にして国内企業を優遇する政策を数多く導入してきたと指摘。
米国の製造業、農業、サービス業の各業種に属する企業は、中国の国内企業優遇策だけでなく、
その他の多くの障壁により中国での業務展開が阻害されていると述べた。
さらに知的財産権について、中国の特許と商標権の世界シェアを拡大させる政策は、
世界の知的財産権保護、市場における競争、さらに米企業が技術移転を行う時期を決定する裁量を
脅かすため、「非常に問題がある」との考えを示した。
この件に関しては、来週ワシントンを訪問する中国の代表団と協議するとした。
同代表団は中国の万鋼・科学技術相が率いる。
ソースは
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnJT869256820100715