安藤建設は、2種類のハイブリッド構法を同一建物に適用する建築工事を東京都内で施工している。
下層が工場、上層が事務所と用途が異なる建物の工事で、工場フロアに端部がRC造、中央部がS造の複合構造梁による
「AHBS構法」を採用。大空間を実現しながら躯体の安全性を確保した。
事務所フロアではRC造の柱にSRC造あるいはS造の梁を接合する「APRSS構法」を使い、有効空間の拡大を図った。
2種類のハイブリッド構法を併用しているのは、同社が設計施工で受注し、東京都町田市内で進めている「(仮称)東京
航空計器本社工場新築工事」。
建物はRC・S造地下1階地上5階建て延べ約2万平方メートルの規模で、昨年9月に着工している。
同社は、地下1階〜地上3階の工場フロアと、地上4〜5階の事務所フロアで、躯体への積載荷重条件が大きく異なることから
ハイブリッド構法の使い分けを検討。
荷重が大きく、梁のスパンが長い工場フロアにAHBS構法を、工場フロアと比較して荷重が小さい事務所フロアにはAPRSS
構法を、それぞれ適用した。
AHBS構法は工場フロアのうち2・3階を構築する工程に採用した。
同構法は通常、梁を支える支保工足場を組み、その上にAHBS梁を組み立て、床スラブと同時にコンクリートを打設する。
今回は、鉄骨の梁部材から型枠を吊り下げコンクリートを打設する方法に切り替え、施工の合理化と工期の短縮を図ったという。
一方、APRSS構法は4〜5階に位置する事務所フロアの構築に採用。梁せいが小さくできる同構法の特徴を生かし、4・5階部分
の有効空間の拡大につなげた。
二つのハイブリッド構法は、日本建築総合試験所から建築技術性能証明を取得している。
同社は、建物の用途や梁のスパン、積載荷重などの条件に応じ、ハイブリッド構法を使った躯体構築を行っている。
97年の初適用以来、これまでに工場や倉庫を中心に、延べ床面積で約20万平方メートルの施工実績を持つ。
今後は、ハイブリッド構法の性能をより引き出すために、設計・施工力の向上や研究開発を推進。
発注者に対し技術提案を積極的に行う考えだ。
▽ソース:日刊建設工業新聞 (2010/06/07)
http://www.decn.co.jp/decn/modules/dailynews/news.php/?storyid=201006070201001