川田工業は、増加が見込まれる橋梁の補修需要に対応するため、人材の育成に力を注ぐ。
設計、製作、施工の知識を備えた技術者の養成を目指し、新入社員の安定採用と採用後の職務ローテーションを徹底。
具体的な対応策は新設した基盤強化室で検討し、実行に移す。
同社は、社内教育を通じて幅広い知識を備えた技術者を育て「一人の技術者で新設、補修の両方に対応できる体制を作り上げる」
(川田琢哉常務執行役員橋梁事業部長)方針だ。
国や地方の財政悪化を背景に公共事業予算が削減される中、橋梁工事の発注量も減少傾向にある。
ただ高度経済成長期に整備され、更新時期を迎えた橋梁は多い。
国土交通省の調査によると、建設から50年以上が経過する長さ15メートル超の橋梁は26年度、全国で7万カ所に迫る数になるという。
新設と補修の比率が変わりつつある状況で、同社は本年度、補修工事で20億円の受注を見込む。
「国内市場は将来的に新設と補修が逆転するのではないか」(同)と見る一方で、工事を任せる技術者の数は不足しており
「補修工事は技術者の現場対応力が問われる。補修を伸ばしたくても人材がネックなる可能性がある」(同)としている。
豊富な知識と経験を持つ団塊世代の技術者が退職時期を迎える中、同社は若年層の技術者を育成することが急務と判断。
設計、橋桁製作、現場施工を総合的にカバーする技術者を育て、将来的な工事発注の変化にも対応できる体制の構築を目指す。
技術者育成の方向性や具体的方策は、4月の機構改革で設置した基盤強化室が検討。
新入社員の採用や教育方法などの人材育成に加え、工事品質の向上や新事業展開などについて、総合的に検討していく。
供用中の橋梁を補修する場合、交通量が少ない夜間に作業が限定されたり、短期間に集中して作業をしたりなど、勤務形態が
変則的になるケースもある。同社は厳しい労働条件に応えるため、「技術者の待遇改善も必要になるかもしれない」と見る。
公共事業に対する予算配分がどう変化していくか、先が読みにくい状況ではあるものの、同社は「新設、補修、海外を合計して
安定的に年間4万トン程度の受注が確保できる体制を整える」(同)考えだ。
▽ソース:日刊建設工業新聞 (2010/06/02)
http://www.decn.co.jp/decn/modules/dailynews/news.php/?storyid=201006020201001