金沢市内の百貨店で、5月の売上高が前年実績を上回るペースで推移している。
香林坊大和は、26日時点の売り上げが前年同月比103%と、約3年ぶりの前年超え達成まであと一歩の状況。
めいてつ・エムザも近江町市場再開発ビルの開業効果があった昨年並みと堅調で、2店とも残り4日間を何とか踏ん張ろうと躍起だ。
「長いトンネルをようやく抜けた感じがする」。香林坊大和の販促担当者は、安どの表情を浮かべる。
同店によると、5月は月初から好調で、ゴールデンウイーク(GW)期間は家族連れや観光客でにぎわった。
通常は客足が落ちる連休後も、初開催のフランスフェア、人気の大江戸物産展などで勢いを維持。
今週初めまでのハワイアンフェスティバルも前年より売り上げを伸ばした。
催事だけでなく、各売り場でも改善傾向がみられた。食品や婦人雑貨、生活用品などは客単価がわずかながら上昇したという。
担当者は「何から何まで我慢する傾向は緩み、こだわりの部分にはお金を掛ける人が増えてきた」と指摘。
GW中は「ルイ・ヴィトン」「エルメス」など高級ブランドも伸びており、消費者の「節約疲れ」がうかがえる。
一方、めいてつ・エムザの26日時点の売上高は前年同月並みだが、昨年5月は「近江町いちば館」の開業によるプラス効果が
あったため、「本当は反動でマイナスになってもおかしくない。現場は数字より改善している」(販売促進部)という。
ただ、足元の改善が消費の本格回復につながるかは予断を許さない。
「好天に恵まれたことが大きい。天候不順だった4月の反動もある」。大和の担当者は外部要因も大きいとして過度の楽観を戒める。
めいてつ・エムザも「店頭はそこそこだが、外商は厳しい。安心していられる状況ではない」と慎重な見方だ。
しかし、ともに今期の営業黒字化を至上命令とする2社。ようやく出始めた回復の流れに何としても乗りたいところだ。
まずは間もなく本格化する中元商戦が試金石となりそうだ。
▽ソース:北國・富山新聞 (2010/05/28)
http://www.hokkoku.co.jp/subpage/K20100528301.htm