ゼネコンの研究開発費が減少している。日刊建設工業新聞は、10年3月期の決算短信で研究開発費を
開示した連結売上高1000億円以上の20社を抽出し、一覧にまとめた=表。それによると、前期よりも額を
増やしたのは鹿島、大林組、飛島建設の3社のみ。残り17社は減少しており、2けたのマイナスとなった社も
あった。20社の合計額は、前期比4・0%減の477億72百万円。売上高に占める割合(平均値)は09年
3月期の0・36%から10年3月期は0・39%に上昇したが、市場縮小で各社が軒並み減収となった分、
研究開発費の比率が高まったと見られる。
今回集計した20社のうち、研究開発費の額が最も高かったのは鹿島で、唯一100億円台を計上した。
前期からの伸び率は0・8%増で、売上高比も前期の0・51%から0・61%に伸ばした。これに続くのが、
大成建設、大林組、清水建設の大手組。なかでも大林は前期比10・3%増と大幅に伸ばしており、将来の
事業展開を見据えた各種の技術開発に積極的に取り組んだ。その結果、売上高比も前期の0・43%から
0・60%に上昇した。
売上高に占める研究開発費の割合は、大手と準大手の一部で比率が高く、最高はハザマの0・68%
(前期0・59%)。前期に比べて比率が上昇したのは、20社のうち14社と7割に達しているが、研究開発費の
額そのものが下がっているだけに、売上高の減少で逆に比率が高まったといえる。
ゼネコンの研究開発は、土木や建築の本業のほか、最近では、生物系、化学系などの人材も抱えながら、
建設事業と密接に関連する環境への取り組みを強化する動きも目立つ。また、建設市場が新規から維持更新の
時代にシフトする中、超高層ビルの解体技術や効率的な改修方法の研究など、新たなニーズへの対応も
加速している。特に維持更新は、技術面での難易度が新規以上に高いと言われるだけに、そうした分野での
研究をいかに進めているかが、企業の今後を占う上での要素となり得る。
▽ソース:日刊建設工業新聞 (2010/05/28)
http://www.decn.co.jp/decn/modules/dailynews/news.php/?storyid=201005280302001