茨城県の高萩・北茨城広域工業用水道企業団(企業長・豊田稔北茨城市長)は、
北茨城と高萩の市境に広がる中郷、南中郷、赤浜地区の3工業団地に進出し、
工業用水を使う企業を対象に工業用水料金などを3年間無料にすると23日、
発表した。
企業誘致策の一環として工業用水料金を全額減免するのは全国で初めて。
全額減免されるのは、1トンあたり50円の工業用水料金と、同25円の経営経費
負担金。3工業団地では、一定の条件下で市税の固定資産税と都市計画税、県税の
法人事業税が3年間、補助減免され、不動産取得税も免除されている。工業用水の
3年間無料を加えると、企業が進出後、3年間に地元自治体に払う主な税金は法人
住民税だけになる。
豊田企業長の説明によると、3工業団地の工業用水は、高萩市にある多目的ダム
・小山ダム下流の大北川から日量で最大1万5000トンを取水できるが、現在、
工業用水を使っているのは12社で日量約5700トン。工業用水事業は、北茨城市
と高萩市の一般会計から年間計2億1500万円を繰り出して賄っているという。
一方で、中小企業基盤整備機構、県開発公社、高萩市土地開発公社の3社が手がけた
3工業団地は分譲面積117・8ヘクタールに対し、23・6ヘクタール(9区画)が
未売却の状態。景気低迷の影響で2009年度の進出企業はゼロで、08年度は3社と
分譲契約を結んだが、まだ工場は稼働していないという。このため、企業団は昨年
10月から、工業用水の無料化を検討していた。
工業用水が無料になる3年間は、企業団の収入につながらないが、高萩、北茨城両市が
交互に派遣していた正規職員を嘱託に切り替えることなどで対応し、両市の一般会計
からの負担は増やさないという。
工業用水の全額減免は、土地取得から2年以内に工業用水を使う工場を新設する企業が
対象。既に進出している企業についても、今後対応を検討するとしている。豊田企業長は
「工業用水を太平洋に流す前に使ってくれる企業が進出しやすくし、雇用や地域の
活性化、中長期の税収につなげたい」としている。
◎高萩・北茨城広域工業用水企業団
http://business4.plala.or.jp/tk5531/ ◎ソース
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100424-OYT1T00596.htm