バイオ試薬大手「インビトロジェン」とバイオ機器大手「アプライドバイオシステムズ」の統合によって誕生した
米ライフテクノロジーズの日本法人「ライフテクノロジーズジャパン」は、分子診断・再生医療分野で日本市場に攻勢をかける。
現在、試薬と機器の技術融合を進めている段階で、次世代シークエンサー「ソリッド」を活用した分子診断や、再生医療分野での
技術開発などの取り組みを本格化させる。
4月に新社長に就任したシダータ・カディア氏は、本紙のインタビューに応じ、「ライフテクノロジーズのブランドを確立し、マーケット
シェアのみならず、研究者のマインドシェアを獲得したい」と述べ、売上高で年5%台後半の成長を目指す方針を明らかにした。
ライフテクノロジーズは2008年11月、インビトロジェンとアプライドの統合によって設立された。
分子生物学システムや遺伝子学システム、細胞システムを事業分野に、主に研究者向けに約5万製品を開発・販売し
グローバル売上高で約33億ドルの実績がある。
今回の統合により、両社の試薬と機器に関する4000の知的財産を活用し、単なるツールプロバイダーではなく、機器と試薬を
組み合わせたソリューションプロバイダーを目指していく方針。
国内では、昨年7月に統合が完了し、「ライフテクノロジーズジャパン」として業務をスタート。
まだ、日本法人の売上高は、世界全体に占める割合が低いのが現状だが、「米国」「欧州・中東」「アジア太平洋地域」と並び
日本市場を主要なマーケットに位置づけている。
既に、インビトロジェンの試薬とアプライドの機器を融合した新製品・新技術の開発が進められ、業績面でも統合後は二桁
成長を維持するなど、確実に統合効果が表れてきている。
今年度には、主力の次世代シークエンサー「ソリッド」の後継品として、「ソリッド4」「同HD」の2製品を投入する計画だ。
従来品よりも処理能力を向上させ、1回当たりの遺伝子解析が低コストで行えるのが特徴で、カディア氏は「処理能力を高め
コストを下げることで、DNA解析が研究分野だけでなく、医療現場にも応用できるようになる」と話す。
将来的には、ソリッドを活用した個別化医療への展開も視野に入れている。既に製薬企業数社と共同研究に向けた
話し合いを開始しているもようだ。
さらに、日本が世界をリードしている再生医療分野にも進出する予定で、カディア氏は「技術が確立していない分野だけに
チャンスがある」と意欲を示す。
今後、幹細胞を専門とする研究者と対話を重ね、研究ニーズに対応した技術開発を加速させる。
そのためには、「マーケットシェアも大事だが、研究者のマインドシェアの獲得が重要になる」とし、研究者に支持されるブランドを
目指し、専門性の高い人材の採用を積極的に行う考えを明らかにした。
▽ソース:薬事日報ウェブサイト (2010/04/19)
http://www.yakuji.co.jp/entry18944.html