【経済政策】菅氏の「知恵袋」小野氏:金融緩和依存でデフレ脱却困難 [10/04/16]

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1依頼@@@@ハリケーン@@@φ ★
 菅直人副総理兼財務相の経済アドバイザーとして2月に内閣府参与に就任した大阪大学の
小野善康教授(59)は、政府の金融・経済政策運営について、日本銀行の金融政策に依存
した手法では、内需は喚起されず、20年来続いてきたデフレ状況からの脱却はできないとの
考えを示した。

 小野教授は14日にブルームバーグ・ニュースとのインタビューで語った。同教授は、日銀
がコントロールできる貨幣量であるハイパワード・マネー(現金と日銀当座預金)と物価の
関係は「バブル(崩壊)以前はマネーを増やせば、物価が上昇する関係が成立していた」
が、バブル崩壊以降は全く物価上昇には効いていないと説明。

 その上で「こうした状況で日銀が金融緩和して、デフレ脱却ができるわけがない」と指摘
し、日本がデフレ脱却で金融政策に依存してきた背景には「財政当局が増税で逡巡し、景気
については日銀に押し付けたことが問題だった」と述べた。

 参院選を控え日銀への政府の追加緩和圧力が今後さらに強まるとの見方がある半面、小野
教授を参与に指名した菅副総理の発言に微妙な変化を見てとる向きもある。シティグループ
証券の村嶋帰一チーフエコノミストは、金融政策に対する菅副総理の発言は「ここ1週間
ぐらいトーンがちがう」と指摘。「日銀に対する政治圧力は基本的に弱まる方向」とみている。

 実際、菅副総理は今月12日、都内の講演で「日銀は、金融緩和は一定程度デフレ対策には
効果があるが、ある意味では限界もあるという認識をお持ちのように思っている」と述べた。

          増税してでも雇用創出を

 小野教授はマクロ経済学が専門。1973年に東京工業大学を卒業、菅副総理とは同窓となる。
現在は阪大社会経済研究所の所長も務める。自民党・小泉政権下の構造改革には批判的な
論陣を張った。約10年前に雑誌の対談で知り合った菅副総理に請われ、2月26日付で参与に
就任。すでに5回ほど開催された幹部官僚を入れない政務3役などとの私的勉強会では日本
経済に関する持論を説明したという。

 同教授は、デフレを、物を消費するよりも現金を保有したいという志向の表れとみて、
政府が内需の源泉となる新たな雇用を創出することで、消費や資金の流れを良くする好循環
を作り出すべきだと主張する。そのため、政府が、不況期には増税してでも新しい仕事を
創設し、逆に景気が良くなれば、減税し政府事業を減らすと約束することで、消費が活発化
し、デフレの脱却につながると説く。

ソース:Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920020&sid=ayctueSbZz3M
2@@@ハリケーン@@@φ ★:2010/04/17(土) 11:20:57 ID:???
>>1のつづき

        不況期には増税、好況期には減税を

 自民党政権下では、景気が悪化すれば所得減税や公共投資などの景気刺激策を打つことが
慣例だった。

 これに対し小野氏は「景気が悪くなると人々はお金を使わないので、増税して政府が事業
を行い、人を雇い、増税分は直ちに国民に返すべきだ」と主張。「今までは逆だったために、
景気の波を大きくした」と指摘する。一方で「民間がちゃんと物を買い始めたら減税すると
確約すれば、民間は一生懸命、買うかもしれない。そうしたら、それで景気が良くなる」と
の考えを示した。

 菅副総理も12日の講演で、デフレの解決のため、「場合によっては増税をしても、使う
道を間違わなければ景気が良くなると考えている」と述べ、事務方に検証させていることを
明らかにした。

 小野教授は増税する税目について「私は所得税増税を主張している」と述べ、「なぜかと
言えば、所得税の方が累進的なので、消費性向の低い高所得者層から税金が取れる。さらに
低所得者層が受け取ったお金を消費に回せば、高所得者の所得にもなる」と説明。所得税の
最高税率は「今は4割だったが、昔は7割だった。小泉政権の実態は所得の高い人にお金を
渡しただけだった」と述べ、「最高税率は上げても良いと思う」との考えを示した。

 政府支出の対象としては「必需品は皆が買っているので、それを政府が買えば、これこそ
クラウドアウト(締め出し)が起こる」と述べ、そういう目で見て環境、介護、医療は良い
のではないか」と指摘。また、環境税を創設し、その税収分を全部エコ製品のポイントの
補助金に充てる制度を作れば、「今までの機能に加えた環境製品が売れる」と述べ、全体と
して消費者の負担も増えないと述べた。

           内需拡大で円安に

 為替相場と日本経済の関係については「完璧に円安の方が良い」との見解を示し、「円高
が経済力の証拠という考えは全くの間違え」で、高度経済成長期の経験に基づくものだと
説明。

 一方で「今は1ドル=93円ぐらいだが、もっと(円安に)行っても不思議ではない」と
述べ、新しい政策で内需拡大を実行すれば「もっと円安になるだろう。そうすると日本企業
は競争に勝ってくる」との見方を示した。

取材協力:日高正裕、下土井京子  --Editor: Norihiko Kosaka, KazuHirano

-以上-