米連邦準備理事会(FRB)のコーン副議長は24日、ノースカロライナ州のデビッドソン
・カレッジで行った講演原稿で、「自分を含め」政策担当者は世界的な金融危機の引き金とな
った複雑な金融商品について「やや油断していた」と述べた。
副議長は今月初め、副議長としての任期が切れる6月23日でFRBを退任すると発表して
いる。
同副議長は「われわれは経済を理解していなかった一方で、理解していると考えていたとい
うのが実情だ」と語った。証券化商品、デリバティブに深刻な欠陥があったのが金融危機の
核心と指摘した。
金融危機について、FRBが困難な局面に際して幅広い企業に対し、自由に貸し出しを行え
る必要性を示したと指摘。「健全で規制された、一定のノンバンクの金融会社に対し、適切な
担保と引き換えに貸し出しを行える能力を保持する必要がある」と述べた。
危機の回避については、FRBは明白な資産バブルに対応する場合、過不足のない微妙な
策を取らなければならないと語った。住宅などセクターに特化した投機的行為を抑制する
最善の方法は、金融政策ではなく、規制の活用だとの考えを強調した。
副議長は、FRBの債券買い入れがインフレ期待を「一部で」押し上げていると指摘。
当局者は政策効果に留意しているが、まだ全体的なインフレ期待には至っていないとの見解を
示した。その上で、融資や経済活動を促進するためのインフレターゲットの引き上げには
反対を表明した。
監督当局者に対しては、今後新たな金融商品により懐疑的な目を向けるよう提案。「中銀な
ど政策担当者、経済専門家、民間セクターはみな、深刻な失業と損失を世界にもたらした
金融危機を予見し阻止できなかった。われわれは経験から学ばなければならない」と述べた。
ソース:Reuters
http://jp.reuters.com/article/financialCrisis/idJPJAPAN-14503420100325