メディパルホールディングス子会社「メディセオ」の、南大阪ALCが4日に竣工した。得意先への直送納品など、新たな
医薬品流通を担う拠点としては、同社2番目のALC(エリア・ロジスティクス・センター)になる。 竣工披露見学会で
メディパルHDの熊倉貞武社長は、「病院、薬局が経営合理化に取り組む中、われわれのALCがサプライチェーン
マネジメントのキーとして認識してもらえるようにしたい」と抱負を語った。
八尾市老原に建設された南大阪ALCは、6月から本格稼働を開始する予定で、昨年竣工した神奈川ALCとほぼ同じ
設計。鉄骨造地上5階建てで、敷地面積2万3720m2、建築面積7749m2、延べ床面積1万9540m2。カバーエリアは
大阪府南部や奈良県、和歌山県の全域を想定している。出荷能力は、年間最大1800億円。現在、対象エリアの
得意先軒数は約9000軒、売上高は1330億円(2009年3月期)で、現状売上高の30%増にまで対応できる。
都市型フルラインセンターとして、得意先に直接届ける方式を採用することで、品揃えの拡充とリードタイムの短縮を実現。
独自開発の需要予測システムで、欠品のない提示・適量納品を目指す。配送は、直接配送エリアについては1日最大4便
体制を整える。
また、免震構造のほか、自家発電装置、災害時の緊急配送用バイクを配備し、地震などの災害時にも安定供給できる
体制を整備。センター内はID認証システムの採用で高いセキュリティも確保した。設備投資額は総額89億円。
ALCの概要を説明したメディセオの山岸十郎副社長は、「生産から最終需要者まで、いかに無駄なく流通させることが
われわれの使命」とし、同センターは今後、医療業界でも取り組むべきEDI物流に向けたインフラ整備として
「将来を見据えたセンターとなっている」と自負した。
また、メディセオの渡辺秀一社長は、「得意先の医療機関が悩んでいるのはコストの削減方式。
医療は労働集約型で、医療機関が苦しくなると最初にするのは買い叩き。
しかし、卸各社の営業利益は1%を切る状況で、価格以外で、こうした機能を提案していくことも一つの選択肢」と強調。
その上で、「従来の大手卸4社間での医薬品物流の差別化はない。今後、人件費のコスト削減だけでなく、いかに効率的に
ものを運ぶかだと思う」とし、「(ALCが)得意先から受け入れられると信じている」と語った。
▽ソース:薬事日報 (2010/03/08)
http://www.yakuji.co.jp/entry18392.html