県内の弁護士が急増している。県弁護士会に登録する弁護士数は1月時点で165人に
なり、10年前の1・5倍にまで増えた。弁護士からは「市民の利便性が向上する」と歓迎の
声が上がる一方で、事務所の所在地は長野市や松本市などの都市部に集中しており、過疎地と
の格差が深刻な問題になっている。
弁護士の急増は、2006年に法科大学院の修了生に受験資格を与える新司法試験が導入
されたのがきっかけだ。日本弁護士連合会の会員数は、20年前の2倍に迫る2万6958人
(09年4月現在)にまで増えた。100人前後で推移していた県内でも00年頃から増え
始め、09年に150人を突破した。
それでも、全国と比較すると少ない。09年の弁護士白書によると、県内の弁護士1人
当たりの負担人口は1万4097人で、全国で16番目に悪い。全国平均の4742人と
比べると負担の重さが分かる。
特に、過疎地の弁護士不足が問題だ。地裁伊那支部や飯田支部の管内では、1人当たりの
負担人口は2万人を超えており、県平均よりさらに手薄になっている。大町、飯山、木曽福島
の簡裁管内など、事務所を構える弁護士が1人もいない地域もあり、長野や松本の弁護士が
出張して対応しているのが実情だ。
一方、都市部の弁護士数も飽和状態に近づいている。県弁護士会によると、所属弁護士の
半数以上が長野市や松本市などの都市部に集中している。2人以上が所属する事務所も両市
などに偏っているという。長野市の事務所関係者からは、「人件費の問題もあり、今後も
弁護士が増え続けた場合に受け入れられるかは分からない」と、心配する声も上がっている。
信州大学法科大学院の教授も務める高橋聖明弁護士は、「弁護士は医師と同じ存在。地域に
常駐の弁護士がいなければ、紛争解決に支障がでる」と警告した上で、「人件費や家賃の
支援など、人口の少ない地域に勤務する弁護士が働きやすい環境を整えることが大切だ」と
話している。
ソース:YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/nagano/news/20100307-OYT8T00640.htm http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100307-967202-1-L.jpg