日本航空(JAL)の国内線を半額で乗れる株主優待割引券が、金券ショップで
急騰している。法的整理に移行する直前の1月上旬と比べると、最大で2倍強も
値上がりしている。ゴールデンウイークの旅行用にと、個人客が殺到しているの
かと思いきや、「個人の買いはぜいぜい2〜3割」(業界関係者)という。
大量に買い込んでいるのは一体…。
日航や全日本空輸(ANA)では、5月と11月の年2回、株主へのサービスとして
優待割引券を発行している。これを利用すれば、国内線の片道1区間を正規料金の
半額で乗れる。現在、金券ショップなどで流通しているのは昨年11月に発行された
有効期限5月31日までのもの。日航は経営破綻したため、現在流通しているものが
最後になる可能性が大きい。
名残を惜しんでというわけでもないだろうが、その日航の優待割引券の価格が金券
ショップなどで急騰している。
1月上旬、破綻すると使えなくなるのではないかとの不安から、都内の新橋や新宿の
金券ショップで2000〜2500円まで暴落。
その後、官民共同出資の企業再生ファンド、企業再生支援機構(東京)が1月13日に、
「(日航が破綻しても有効期限までは)通常通り使用できる」と発表。優待割引券の
価格は現在、2倍以上の4200〜5000円まで急騰している。
全日空のものは現在、1月12日時点より30〜40%上昇し、5000〜5800円で
流通。価格では日航をやや上回っているが、上昇率は日航のほうが圧倒的に大きい。
この急騰について、新橋の金券ショップ経営者は「個人の買いはせいぜい(全体の)
2〜3割。旅行会社の大量買いが影響している」と指摘し、こう続ける。
「日航の優待券が通常通り使えることがはっきりした途端、中小や零細の旅行会社が
まとめて買いに来るようになった。ゴールデンウイークの国内ツアーや個人旅行用に
使用するためとかで、優待券の価格が暴落していたので『こんなチャンスはなかなか
ない』とも言ってました。(日航の優待券を仕入れる)卸業者が金券ショップに
売らずに旅行会社に直接売るケースもあり、品薄感が広がっている」
このほか、企業の総務担当者が社員の出張用に購入するケースも少なくなく、
「これから1カ月間はジリジリ上がっていくだろう」(金券ショップ経営者)という。
価格が下がりだすのは大型連休を過ぎて、需要が一段落してからになりそうだ。
ただ、有効期限が5月31日までのものも、ウラ技を使えば利用期間を延ばせる。
日本チケット商協同組合(東京)の伊集院浩二理事長によれば、「有効期限ギリギリの
5月31日に優待券を使ってオープン航空券を購入すれば、事実上、8月下旬まで
使えることになります」という。
オープン航空券とは、購入時に搭乗者と発着地だけを決め、日時は決めずに発行する
チケット。利用期間は発券した翌日から90日間のため、仮に5月31日に発券すると、
8月29日まで使えることになる。予約は空席がある場合にできる。
個人も企業も節約志向が強まっているだけに、優待割引券を有効利用する向きが増え
そうだ。
◎ソース
http://news.nifty.com/cs/headline/detail/fuji-zak20100309006/1.htm