初期投資が少なく開業しやすいため、店舗を持たないインターネット上の中古書店を定年を機に開業する人が
増えているという。県内の中古書店が加入する県古書籍商業協同組合は20日、新規の開業希望者などを
対象にした入門講座を初めて開催する。組合は、講座を通じて潜在的なネット中古書店開業希望者に
加入のメリットを伝え、組合員増を目指したい考えだ。
県の組合は戦後まもなく設立され、1992年には加入者が169店あった。現在は125店にまで減少。
2003年に、県の組合の規定が変わり、店舗を持たないネット中古書店の加入を認めたため、ネット上の
古本市場の拡大を受けて、近年は横ばいで推移している。
組合加入の最大のメリットは、古本を売買する市場(いちば)に参加できること。県の組合は毎週月・金曜の
2回開催し、毎週約2万冊が取引される。
自分の店で扱わない古本を出品し、自分の店に必要な古本を落札する。歴史専門の中古書店が美術書を
買い取った場合、市場に出品すれば、美術書を扱う中古書店が買い取ってくれる。神奈川県のほか全国に
52ある組合が催す市場にも参加でき、安定的な仕入れと品ぞろえの良さという利益をもたらす。加入には、
加入金10万円と脱退時に返還される出資金20万円が必要。
ネット中古書店を開業しても、組合に加入していないと「仕入れ難」に直面するという。横浜市西区で「軍学堂」を
営む望月昭義さん(67)は、放送業界を定年退職した02年に、「今までと全く違う仕事がしたい」とネット中古書店
を始めた。しかし開業して在庫の古本が売れていくと品薄になってしまった。「大手チェーンのブックオフを回って価値の
ありそうな古本を買い集めていた」と仕入れ事情を振り返る。
02年の開業当時、店舗を持たないネット中古書店は組合に加入できない規定だったが、03年に
緩和され、望月さんも加入することに。その後、組合の市場に参加することで仕入れ難も克服し、
今では店舗を持つほどになった。
定年を機にネットで開業し、県の組合に加入した業者は数店ある。加入者が増えれば、流通する古本を増やし、
業界全体の品ぞろえを潤沢にすることができる。このため組合は、新規開業者と組合未加入の中古書店店主を
対象に今回初めて入門講座を企画し、「より多くの開業希望者に組合加入のメリットを知ってもらいたい」という。
入門講座は、20日午後2時から、横浜市神奈川区反町2丁目の古書会館で。無料。先着30人で要申し込み。
◎神奈川県古書籍商業協同組合
http://park22.wakwak.com/~kosho/ ◎ソース:asahi.com
http://mytown.asahi.com/kanagawa/news.php?k_id=15000001003080005