官民出資の投資ファンド「産業革新機構」と東京都水道局は8日、海外の上水道事業の
受注に乗り出す企業を支援するため、協定を結んだと発表した。水ビジネスでは施設の
建設から運営管理までを一貫して行う欧州系の大企業に比べ、日本企業は劣勢に立た
されている。機構の持つ資金提供の枠組みと、都水道局が長年築き上げてきたノウハウを
組み合わせ、上水道の運営管理分野で国際的に戦える企業を育てたい考えだ。
産業革新機構は環境やエネルギーなど成長性の高い分野の新事業に投資するため昨年
7月、政府と民間企業が出資して設立された。今回の協定では、都水道局の外郭団体
「東京水道サービス」と合同で、海外の上水道事業に取り組む企業に資金支援や施設の
運営管理方法の指導を行う。
上水道事業は安全性が重視されるため、海外で施設の運営管理を受注する際には過去の
供給実績が問われる。ただ、日本では水道事業を自治体が担ってきた歴史があり、
企業は水処理膜やポンプなど個別分野で優れた技術を持ちながらも、施設全体を運営
管理する実績が乏しいため、受注を欧州系企業などにさらわれるケースが多かった。
東京都水道局は来年度から、都民1200万人の水道事業を運営してきたノウハウと
信用力を生かすため、企業と共同事業体を組み、インドやベトナムなどアジア地域を
中心に海外の上水道施設の建設や運営管理事業の受注に乗り出す。具体的な案件は
未定だが、機構の投資はこの枠組みのなかで用いられる予定だ。
経済産業省によると、上下水道の管理や海水淡水化などの水ビジネスは、新興国を
中心に約36兆円の市場がある。上水道の運営管理はそのうち5割近くを占める主要
分野だという。
◎東京都水道局のリリース
http://www.waterworks.metro.tokyo.jp/press/h21/press100308.html ◎
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100308/biz1003081820014-n1.htm ※関連ニュース
【都議会で浮き彫り 東京都水道局は天下り天国】
4日の都議会で、都職員の“水の私物化”が浮き彫りになった。舞台となっているのは、
東京都の外郭団体である「東京水道サービス株式会社(TS)」。都から年間80億円
あまりの業務委託を受け、うち32億円を民間企業に委託している。委託業務のひとつが
給水管の点検だが、この仕事が2000年から9年間にわたり、特定の5社に発注されて
いたのである。
一応、入札はやっているが、TSはこの5社を「協力会社」と位置づけ、過去5年間の
シェアはほぼ同じ。
一方、水道メーターをチェックする営業所徴収業務(年間45億円)でも過去5年、
特定の3社が受注してきたことがわかった。こちらもシェアは毎年同じだ。しかも、
複数の委託業者に元水道局課長らが天下り、取締役や幹部として勤務しているのだ。
この問題を追及した民主党の伊藤悠都議が言う。
「水道料金という公共性の高いお金が、毎年同じ企業に同じ比率で発注されるのは
どう見ても不自然。なれ合いの背後には、退職後の天下り先を確保しようという職員の
思惑があるはず。一般社員として天下った人を含めると、総勢は数百人に上るでしょう。
こうしたことが過去何十年野放しにされてきたのです」
都庁は伏魔殿だ。
◎
http://news.www.infoseek.co.jp/topics/society/n_tokyo2__20100308_3/story/08gendainet02044902/