○米SEC、10%以上の下落時の空売り規制へ
米証券取引委員会(SEC)は、株式市場で個別銘柄の株価が1日の取引で
10%以上下落した場合に空売りを制限する規制案を3対2で承認した。
約1年間にわたって続いてきた空売り規制問題の議論に終止符を打つことになる。
SECによれば、投資家が株価を不当に押し下げることを防ぐ形で空売りを
規制することは、投資家の信頼回復に寄与するとしている。しかし、今回の規制は
費用を伴う。SECによれば、取引所やブローカー・ディーラーがこの規制に対応する
費用は7-9万ドル(約631-812万円)程度とみられ、継続的にかかる費用はさらに
1社当たり平均で12万ドルと予想されている。業界全体としては、規制施行に
10億ドル、さらに継続的にかかる費用として年間10億ドルが見込まれる。
今回の空売り規制案では、株価が急速に下落している際に、株価が直近の最も高い
買い気配値以上の場合に限り空売りが可能となる。規制は前日の終値から10%以上
下落した取引日に発動する。この空売り規制は発動した当日と翌取引日に適用される。
SECのメアリー・シャピロ委員長は、「規制案に至る検討過程で、SECは空売りが
市場に提供する恩恵を認識してきた」と述べた。
ただ、金融業界では今回の規制案を歓迎していない。米大手金融機関の
ゴールドマン・サックスの米国株式トレーディング部門責任者のポール・ルソー氏は
SECに宛てた書簡の中で、空売りの規制は「市場の効率と流動性を阻害し、
不当な空売りからさらに市場を守る際に効果はない」と警告。
一方、金融調査会社データ・エクスプローラーズで投資管理ストラテジー部門
ディレクターを務めるウィル・ダフ・ゴードン氏は、「かなり論理的にだと思われる」
とし、それほど懸念していないという。
□ソース:ウォール・ストリート・ジャーナル
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_36112