三菱電機は、ビル向けに空調や照明を一元的に制御する連携システムを開発、2011年をめどに営業
展開する。部屋の壁に取り付ける「空調コントローラー」を改良し、照明の制御線などを接続できる端子を
装備したほか、部屋の入退室を管理するセキュリティーシステムとの連動も可能とし、コントローラー1台で
“丸ごと”管理できるのが特徴。温度などの条件設定はパソコン入力でき、環境変化に応じて簡単に調整
できるため、消費電力を30%程度削減できるという。
空調設備と照明器具は制御する専用線が異なるため、通常、コントローラーは別々にある。三菱電機は
今回、独自の技術で異なる制御線を接続できる汎用性のある端子を開発。一つのコントローラーに制御機能を
統合することに成功した。
コントローラーの一元化と同時に、「暑い」「快適」「寒い」など個人の状況に応じて、空調の風向きを特定の
方向に設定できる「パーソナル設備制御」機能との組み合わせも可能にした。携帯電話に位置検出機能付き
無線ネットワーク対応の小型端末を取り付け、携帯画面から室温などを入力する仕組み。
これら2つの制御機能を取り入れたビル内の空間を利用した実験では、消費電力を最大30%削減できる
効果が得られたとしている。
【予報図】
■省エネ法強化が後押し
三菱電機がビル向けの省エネサービスに力を入れるのは、4月に省エネ法が強化され、事業所ごとに消費
電力の削減目標などの届け出が義務化されるのに伴い、省エネ機運が高まり商機が拡大すると判断したためだ。
同社では空調・照明の効率的な制御機能の開発以外にも、エレベーターの省エネ運行制御の新システムも
4月に販売する。保守子会社の三菱電機ビルテクノサービス(東京都荒川区)では、ビル省エネ化を体験できる
見学施設を今月1日にリニューアルオープンするなど、グループ挙げてビルの“丸ごと”管理に照準を絞る。
同社はエレベーター出荷台数で国内トップの実績を持つ。ビル向け顧客アプローチの観点では、同じく省エネ
提案を強化している日立製作所や東芝に肩を並べる可能性を秘める。
法規制の強化によって、今後はビルなど業務分野でも一層の省エネを促す製品やシステムが登場し、消費
電力の削減が進みそうだ。
▽ソース:Sankei Biz (2010/02/11)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100211/bsb1002110509005-n1.htm