日本生命保険の専務執行役員、加藤貞男氏は8日、同社の運用戦略に関して、ユーロ/円が120円
近辺ではオープン外債を買える体制にあると述べた。ロイターのインタビューで語った。
同社は2009年度上期だけでオープン外債を5000億円減らすなど、円高進行を見込むなかでオープン
外債を減らし、ヘッジ付き外債を増やしてきた。加藤専務によると「為替のエクスポージャーは過去に
例のないほど低い」状況で、今後はむしろオープン外債を買う余力があるという。同社が昨年10月時点に
明らかにした今年度下期のユーロ/円想定レートは115円─135円。
昨年は内外金利差が縮小し、為替のヘッジコストが減少したため、日生を含む大手国内生保各社が
積極的にヘッジ付き外債を購入した。しかし、米国の経済回復が早く、米連邦準備理事会(FRB)が
欧州中央銀行(ECB)よりも早く政策金利の引き上げに踏み切るのではとの見方が強まりつつある。
日本銀行はデフレ克服のために緩和的な金融政策を当面維持すると見込まれており、米金利が上昇すれば、
内外金利差が拡大し、ヘッジコストが上がる。このため、市場関係者は、生保の外債投資の動向に
高い関心を示している。
ヘッジ付き外債の出口戦略について加藤専務は、「とことんオープン外債を落として、ヘッジ外債を
積み増したので、逆の行動はとりやすい」と語った。タイミングについては、海外と日本の金利差だけでなく、
円高の度合いやオープン外債の購入時期との兼ね合いなどを考慮して判断すると述べた。同専務は
「日本の経済回復には10年かかった。世界の経済が短期間で回復するのかどうかについても楽観論
ばかりではない」と述べ、「いらぬ心配をしてヘッジ外債を全部落とすことは考えていない。バランスを
とりながらやればよい」と語った。
日本生命は09年9月末時点で約46.1兆円の一般勘定資産を運用しており、このうち外債での運用は
約5.6兆円となっている。国内大手生保9社の資産残高は9月末時点で148兆円(約1.6兆ドル)で、
ブラジルの経済と同じ規模。
<ユーロ圏の投資方針>
一方、過剰な財政赤字が指摘されているギリシャに関して、加藤専務は、世界経済の中である一定の
ウエートを占めている国に投資対象を絞っており、「ギリシャ国債は保有していない」と述べた。また、
ギリシャの信用不安が他のユーロ圏諸国に波及しているものの、同社としてはユーロ圏の投資方針の
大枠を決めている「グランドデザイン」には影響していないと語った。同専務は「信用不安が高まっている国に
わざわざ投資するということはないが、ユーロのポジションを今、下げなければいけないという意識もない」と述べた。
また、今後の株式投資戦略については、成長性が高いアジア株への投資を中長期的には増やしていきたい
との考えを示した。加藤専務は「海外株の方が日本株より成長性が高いと思うのでいいタイミングで
積み増したい。海外を欧、米、アジアに分けてみると、弊社はアジアがアンダーポジションだと思う」と述べた。
▽ソース:ロイター (2010/02/08)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-13781920100208