農林水産省によると、2009年の牛乳生産量は前年比9・4%減の317万8860キロリットルで、
統計のある1961年以降、最大の減少幅を記録した。飲用向け乳価の値上げと景気低迷が響いて、
5年連続のマイナスとなり、1979年(304万キロリットル)並みの水準に落ち込んだ。
飼料価格の高騰に伴い、昨年3月に飲用向け乳価が引き上げられてから、牛乳の落ち込み幅が拡大。
5月に10・1%減と初めて2けたの減少率となり、10%台のマイナスは計6カ月あった。
▽ソース:北海道新聞 (2010/02/03)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/agriculture/213553.html 【社説】牛乳生産減少 消費の拡大を図らねば(2月4日)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/213755.html 昨年の国内牛乳生産量は約317万キロリットルで、1979年並みの水準に落ち込んだ。前年比の減少幅は
61年以降で最大である。乳製品の需要も低迷している。
北海道は全国一の酪農王国だ。生産量が減り続ければ、その基盤は弱体化する。消費低迷と生産減少の
悪循環を断ち切らねばならない。
消費拡大のための一層の努力を生産団体や小売業者に求めたい。消費者の心をつかむ商品開発や販売方法にも
工夫を凝らしてほしい。
農林水産省によると、国内の牛乳生産量は少子化や茶系飲料などとの競合で5年連続で減少している。
特に昨年は、春先に飼料価格の高騰で飲用向けの乳価が引き上げられて小売価格に転嫁されたため、
全国的に消費が大きく減退した。
夏以降は新型インフルエンザの影響で学校の休校が増えて給食需要が落ち、消費の減少に拍車をかけた。
食品価格全体が下がる中で牛乳に割高感が出たことも、消費が伸びなかった一因とみられる。
気になるのは、道内の牛乳消費量が全国に比べて低いことだ。
道によると、1世帯当たりの年間牛乳購入量は2007年で約82リットルと、東北、関東など全国10地域のうち
8番目にとどまっている。
道内でも消費者の牛乳離れが起こっているとの指摘がある。道やホクレンなどは牛乳の消費拡大キャンペーンを
続けているが、成果はなかなか上がらないのが現状だ。
もっと具体的に牛乳の効用を消費者に訴えるべきだ。動物性タンパク質を多く含む牛乳は、健康増進に役立つ。
栄養面での効能を積極的にPRし、特に健康への関心が高い中高年層の消費を拡大したい。
牛乳の販売方法にも工夫の余地がある。コンビニ大手のセイコーマートは、自社ブランドの牛乳パックをティッシュと
交換するサービスで固定客を増やしている。こうした工夫を積み重ねる努力も大切だ。
ホクレンは、道産牛乳の首都圏への出荷にも力を入れてほしい。
一方、昨年は牛乳の生産量が減った分だけ、保存がきくバターや脱脂粉乳などの生産に回った。
しかし、乳製品の需要の落ち込みで全国的に在庫増が深刻になっている。
日本酪農乳業協会は、乳製品の需要低下が見込まれるため、今年の生乳生産量は昨年に比べて
さらに減少すると予測している。
北海道は、チーズなど加工用に使われる生乳生産の比率が高い。
ホクレンは昨年10月から、道産のチーズ用牛乳を道内各地のチーズ工場で使ってもらうよう働きかけている。
需要を喚起するために、あらゆる対策を考えていきたい。