世界最大の鉄鋼生産国である中国は、製品の品質改善に焦点を絞るよう鉄鋼メーカーを
指導しており、鉄鋼最大手のアルセロール・ミタルを追撃する規模の拡大をメーカーに促す
政策を転換する可能性がある。中国政府の顧問1人が明らかにした。
鉄鋼に関する新たな方針策定に携わる中国冶金工業規画研究院の李新創院長は「鉄鋼メー
カーには技術や品質の向上、さらに環境改善に注力するよう望んでいる」と指摘。「大きい
ことは必ずしも良いことではない。アルセロール・ミタルは昨年かなり苦しんだ」と語った。
この見直しは、宝鋼集団など鉄鋼メーカーの収益悪化や価格下落を防ぐために、老朽化
工場を閉鎖して過剰生産能力を削減する中国政府の取り組みを明確に示している。アナリスト
予想によれば、リセッション(景気後退)で需要が後退する中、2006年の大型買収で誕生
したアルセロール・ミタルは09年に3億8900万ドル(約350億円)の赤字を計上する可能性が
ある。
世界鉄鋼協会の最新のデータによれば、アルセロール・ミタルの08年の鉄鋼生産は1億330
万トン。調査会社の中国聯合鋼鉄網によると、河北鋼鉄集団の昨年の生産は4024万トンとなり
、宝鋼集団を抜いて中国の鉄鋼メーカーで最大となった。
李氏によれば、新たな産業政策は近々発表される公算がある。具体的な日程には言及して
いない。昨年11月時点の政策原案では、中国政府は15年までに年間1億トン規模の生産能力を
持つメーカー1社か2社に再編を進めるよう鉄鋼メーカーに要請することを検討していた。
新たな産業政策の中で中国政府は、最大5000万トン規模の業界再編を促す可能性があると
いう。李氏は「危機のさなかには、規模の小さな企業のほうが大手よりもパフォーマンスが
良かった」と指摘した。
ソース:Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=aER471m3Cgy4