宮城県大崎市の第三セクター「鳴子まちづくり」(高橋勇次郎社長)が、地域のエネルギーを活用するための
ビジョンを策定した。鳴子温泉にある約370本の源泉のエネルギー効果を数値で示し「エネルギーの地産地消」
を進めれば、環境に優しい温泉街としてアピールできると提言している。
「鳴子地域新エネルギー・省エネルギービジョン」は、ホテルや公衆浴場などを対象に、暖房と給湯への
温泉熱利用状況を調査。少なくとも21施設が温泉熱を利用しており、灯油などを燃焼させるのに比べ、
年間約3500トンの二酸化炭素(CO2)削減効果があることが分かった。
うち8施設では暖房・給湯熱のすべてを温泉で賄い、中には年約800トンのCO2削減に成功している
施設もあった。
温泉利用後の排湯にも着目し、鳴子温泉全体で理論上、利用可能なエネルギー量を計算した。38度の
排湯が8度まで下がると仮定した場合、灯油に換算して年にドラム缶(200リットル)約5万本分のエネルギーが
使われずに流されていると算定。こうしたエネルギーを融雪や暖房に有効活用できるとした。
具体的には、地域コミュニティー施設に温泉熱を利用した暖房を整備するモデルを示した。このほか、
養豚施設で温泉熱や蒸気を感染症予防などに活用し「温泉豚」としてブランド化することも提案した。
鳴子まちづくりは本年度、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受け、昨年7月に
ビジョン策定委を設置、温泉熱利用の可能性を探ってきた。高橋社長は「ビジョンの内容を広め、
実現していきたい」と強調する。
策定委員長の新妻弘明東北大大学院環境科学研究科教授は「鳴子温泉の住民は温泉の恵みを活用し、
環境に優しい生活を送ってきた。温泉活用をさらに進め、発信することで、大きな観光資源になる」と話した。
▽ソース:河北新報 (2010/01/31)
http://www.kahoku.co.jp/news/2010/01/20100131t12026.htm