非鉄金属メーカーがリチウムイオン電池関連事業を強化している。耐久性に優れる同電池は
ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)といったエコカー向けで需要増大が見込まれる
ためだ。電池部材の生産能力の増強や使用済み電池からリチウムなどの希少金属(レアメタル)
を回収・再利用するリサイクル事業に乗り出すことで、収益拡大を狙う。
リチウムイオン電池は現在、携帯電話やノートパソコンを中心に採用されている。主要
部材は正極材、負極材、セパレーター、電解液の4つ。このうち、正極材と負極材でエコカー
向け市場への参入を目指しているのが三井金属だ。
同社は現在、竹原工場(広島県竹原市)に月産40トンの設備を持ち、携帯電話やパソコン
向けの正極材を生産しているが、エコカー向けでも電池メーカーに試供品の出荷を開始。
採用が決まれば、2013年までに100億円を投じて、月産1000トンの量産体制を
整える。同社は負極材についても現在主流の炭素系より高容量のシリコン系を開発し、エコ
カー向け需要の開拓を図っている。
新日鉱ホールディングス傘下の日鉱金属も正極材の生産能力を増強し、エコカー向け需要を
取り込みたい考えだ。磯原工場(茨城県北茨城市)の年産能力を需要動向に応じて13年にも
現在の500トンから約3000トンに引き上げる。
リチウムイオン電池が普及すれば、原料のレアメタルも需要が大きく伸びるのは確実だ。
ただ、レアメタルの大半は輸入に依存しており、安定調達には不安が強い。このため、日鉱
金属は11年度をめどに、使用済みリチウムイオン電池から、リチウムをはじめ、コバルトや
ニッケル、マンガンといったレアメタルを回収・再利用する事業を始める。子会社の日鉱
敦賀リサイクル(福井県敦賀市)の敷地内に実証プラントを建設中だ。
三井金属は竹原工場でニッケル水素電池からレアメタルを取り出す事業に取り組んでいるが、
リチウムイオン電池のリサイクルも事業化を検討している。
民間調査会社の富士経済によると、リチウムイオン電池の市場規模は08年の104億円
から、14年には2兆2500億円に拡大する見通し。関連事業の裾野は広く、非鉄メーカー
も有望市場での勝ち残りに向けて事業展開を加速する構えだ。
ソース:SankeiBiz
http://www.sankeibiz.jp/business/news/100120/bsc1001200501000-n1.htm