タンカーやコンテナ船など海外を行き来する世界中の外航船から排出される二酸化炭素(CO2)の
削減策として、国土交通省は15日、燃料代に環境税のような課金を設ける新制度を国連の国際海事機関
(IMO)に提案する。徴収金は国際基金にして、排出量を抑えた「エコシップ」の開発などに充てるほか、
CO2削減の貢献度に応じて船主らに還付する。2014年の発効を目指している。
国交省海事局によると、新制度は「燃料油課金制度」で、(1)5万隻以上とされる世界中の外航船すべてを
対象に、燃料代に課金して一定額を徴収し、国際基金の形で管理する(2)基金は、太陽エネルギーや風力を
活用してCO2排出量を抑えたエコシップの研究開発や途上国の温暖化対策などに充てる(3)少ない燃料で、
長い距離を航行したり、多くの荷物を運んだりした船を「A」「B」「C」などと格付けし、それぞれに応じた一定額を
船主や運航者らに戻す――となっている。
試算では、燃料油1トン当たり30ドルを課金すると、1年間の徴収額は84億ドル(7725億円)に達するという。
IMOの07年調査では、国際物流の9割を担う外航船のCO2排出量は、全世界の約3%に相当する8.7億
トンで、ドイツ1国分に相当する。しかし、国内の港を行き来し、国内で排出規制が実施できる内航船と違い、
外航船は荷出しと荷揚げの国が違ったり、船籍と運航者が異なったりするため、国際航空とともに、どの国の
排出量として換算するか定まっておらず、課題となっていた。昨年末にコペンハーゲンで開かれた国連気候
変動枠組み条約の第15回締約国会議(COP15)でも、問題視された。
エコシップ時代を見据え、船の保有量や建造量が多い世界の海運・造船主要国間では自国の優位性を
保とうと、CO2削減策の発案が活発化している。デンマークは還付のない課金制度を提唱しているほか、
ノルウェーやドイツは排出量を市場で売買できる排出量取引制度を検討中だ。
日本案は3月から、IMOの海洋環境保護委員会で各国案とともに審議され、10月にも採否が決まる予定だ。
採択の見通しについて、国交省は「中国など船の省エネ化が進んでいない国の反発は予想されるが、課金制度
の導入については複数国の賛同は得られる」(海事局)と予想している。14年発効の場合、20年には世界の
外航船からのCO2排出量を今より15%削減できるとみている。
▽ソース:asahi.com (2010/01/15)
http://www.asahi.com/eco/TKY201001140484.html
>>1 排出目標がない国からの輸入品に対しても、環境税をかけるべき。
そうしなければ、例えば原油をプラスチックに加工してから輸入すれば環境税がかからないなど
課税逃れが行われ、地球全体としてはCO2を減らすどころか増やしてしまう。