日本政策投資銀行は6日、地球温暖化対策に取り組む企業への国の利子補給制度を
活用し、大王製紙へ実質無利子の融資を実施したことを明らかにした。大王製紙を
含む製紙大手は、2年前の年賀はがきに端を発した再生紙の古紙配合比率偽装問題で、
社会的な批判を浴びた。だが、政投銀は「再発防止策も進み、みそぎは済んだ」と
判断した。製紙業界への利子補給制度適用は初めて。
企業の地球温暖化対策資金として、融資額100億円を上限に3年間で3%の利子を
補給する環境省の制度を使って、大王製紙に融資する。政投銀が、独自に環境配慮
企業へ金利優遇する格付けで大王製紙を最高位にランク付けたことで、利息は実質
ゼロとなる。融資実行額は非開示とした。
大王製紙は、利子補給制度を受けるため、3年以内に二酸化炭素(CO2)排出量を
6%以上削減すると誓約した。融資資金は、木材チップから紙原料の繊維を取り出す
際の樹脂廃液を燃料化するボイラー設備に充てるという。
製紙業界は、再生紙の古紙配合率偽装のほかにも、平成19年には工場の煤煙(ばいえん)
データ改竄(かいざん)など、環境をめぐるコンプライアンス(法令順守)上の問題が
相次いで発覚した。
だが、政投銀は「徹底した原因究明と各種再発防止策で、信頼を回復しつつある」と
判断し、大王製紙の環境対応を「特に先進的」と評価した。具体的には、大王製紙が
(1)2年度比でCO2排出を大幅に削減した(2)廃水処理技術に優れている
(3)業界平均を上回る古紙利用率を達成していることなどを認定した。
政投銀は、120項目に及ぶ独自の審査基準を設け、融資条件を優遇する「環境格付け
融資」を実施しており、16年度からの累計実績(昨年末)は186件、2640億円に
のぼる。
◎大王製紙(3880)
http://www.daio-paper.co.jp/ ◎日本政策投資銀行
http://www.dbj.jp/ ◎ソース
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100107/fnc1001070121000-n1.htm