【物流】外資が加速させる物流改革--巨大マルチ倉庫を活用したSCM戦略 [01/06]
1 :
ライトスタッフ◎φ ★:
港湾の近く、高速のインターチェンジに近い場所でまとまった土地があるなら、
進出を考えてもよい」。不況の最中、企業誘致に苦しむ某県の担当部署にこんな
問い合わせが入ってきたという。尋ねてきたのは、大規模なマルチ物流倉庫施設を
所有・運営する外資系不動産企業だ。
■商業圏に近接する巨大倉庫マンション、外資ファンドが席捲
プロロジス、AMBプロパティコーポレーション、ラサールインベストメントマネージ
メント。いずれも米国に本社を置く不動産投資信託(REIT)の上場企業であり、
世界規模で私募、公募資金による物流施設の取得、開発、保有、運営を活発化させて
いる物流倉庫専門(ラサールを除く)の物流不動産投資の御三家だ。
「大規模マルチ物流倉庫といってもイメージし難いが、従来の倉庫が戸建て住宅なら、
外資が所有する施設は大規模なマンション」。イーソーコ総合研究所の河田榮司社長は、
大型マルチ倉庫をこう表現する。
大規模マルチ倉庫を1つのイメージで言えば、1万〜2万坪という敷地面積に1階層当たり
2000〜4000平米超の倉庫スペースが、5〜6階層積み上がった賃貸物流倉庫。各階層には
ランプウェイと呼ばれるループ型の入出庫道路が整備され、エレベーターを使わずに
平屋倉庫のような使い方が可能だ。延床面積は約15万〜20万平米に達するわけで、
ベタな比較で恐縮だが約4万7000平米の東京ドームが3、4個分積み上がった計算になる。
各階にはテナント方式でメーカー系から通販業者、3PL(サード・パーティ・ロジス
ティックス)と呼ばれる物流業者などが賃貸契約を結び、複数階層の借り切りや必要な
スペースの区画を賃借する。暗い、狭いという従来の倉庫の概念を覆す開放型で福利
厚生施設も完備した文字通りのマンション仕様なのだ。
「一棟当たりの建設費用は、100億〜200億円超」(物流外資)と倉庫にしては巨額な
投資規模。90年代以降、大規模流通を手掛けてきたダイエー、イオンなどが建設する
倉庫への投資額が数億から大きいもので十数億円の規模というから、その額がいかに
巨額かがわかる。
「延床面積が1万坪以上のマルチ倉庫は全国で約70棟稼働しているが、その60%程度は
外資所有」。事業用不動産データを保有するシービー・リチャードエリス総合研究所の
鈴木公二・シニアコンサルタントは、大規模マルチ倉庫の多くが外資系の所有と明かす。
同社のリサーチによれば、約70棟の大型マルチ倉庫の内、首都圏には48棟が集中。
その他は関西圏に12棟、中部圏に4棟と大規模消費地に近接している。こうしたロケー
ションには、入居企業のさまざまな事情が反映されている。
※続く
●両サイドにトラックが入出庫するループ型のランプウェイを持つ、大型マルチ倉庫
http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/c/5/250/img_c50c386938a88a12daa625c2b2f4cef391080.jpg ●入居前の倉庫内。全長は、200メートルにも及ぶ。
http://wedge.ismedia.jp/mwimgs/b/f/250/img_bf795e8bf48216021ef1c31b5a4f9e0666175.jpg ◎ソース 『WEDGE』(JR東海)
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/686
2 :
ライトスタッフ◎φ ★:2010/01/06(水) 13:56:08 ID:???
>>1の続き
■入居企業毎に異なる? 巨大倉庫活用の事情とその方法
「物流施設を集約することによるコストメリットもあるが、それよりも顧客への納期
短縮が最大の狙い」。家電主体の通販大手・ジャパネットたかた。星井龍也専務執行
役員は、2009年10月に愛知県春日井市のAMB春日井・小牧東ディストリビューション
センターへ、従来2カ所あった物流拠点を1カ所に集約した狙いをこう語る。
複数のメディアで通信販売を行う同社は、一商品当たりの販売台数も多い。また、その
主要売上は「東名阪で約70%」に達するという。大阪と首都圏の中間、そして日本の
真ん中に位置するこの地区は、家電メーカーなどの工場も集積しており、流動性の高い
数百アイテムを中心に多くの在庫を確保しておくことで、「顧客からの注文を受けて
翌日には配送、設置できる」(星井専務)というメリットをもたらす。
「大手自動車メーカーのサービスパーツ(ショックアブソーバーやライトの一部など)の
保管と倉庫内の安全性の確保が狙い」。同じくAMB春日井に入居する大手自動車メーカー
から同施設でのサービスパーツの保管、入出庫作業を請け負うホンダロジコム。田辺晃
プロパティ事業推進室室長は、「モデル事業所として人の作業所とフォークリフトの
移動区間を分離した安全設計」を特徴に挙げる。
「全国の営業所から集約された冷凍、チルド製品を東海一円に配送するハブセンター的な
役割」。AMB春日井の最上階に入居するキユーピーの子会社であるキユーソー流通システム。
キユーピー向けの物流はもちろん、大手食品メーカーを含む3000〜4000社と冷蔵・冷凍
製品物流契約を結び、取扱量は他社向け物流が約70%を占めるという。
問屋向けを主体に一日5万ケースを配送するが、「近隣に民家がないので24時間稼働しても
問題なく、大口商材を集約することでコストメリットは従来の3〜4倍」と関係者は語る。
同社は冷凍・冷蔵品を扱うだけに、室外機設置の関係で最上階を指定。さらにトラック
搬送口と外気を遮断するためにドックシェルターと呼ばれるオプション設備を取り付けている。
巨大マルチ倉庫の仕様は、事前のオプション仕様を除けば中国のマンションよろしく
ガランドウ状態で、内装他は入居企業が施すのが通常。もちろん付帯設備への投資は
伴うが、「施設を自前で持つより、フレキシブルな対応が可能」(物流関係者)という
声が多い。このフレキシブルという表現、実は長引く不況や成熟した日本の消費社会を
投影した物流事情を反映しているのだ。
「従来のような中・長期契約が少なくなり、ものによっては1年単位の契約も出始めている。
そのために大きな専用倉庫を建設するメリットはない」。物流大手である日本通運。
山本修・広報部次長は、荷主の契約期間の短縮化を指摘する。
「製品寿命が大幅に短くなり、少量多品種の製品、商材を短期間で取り扱わなければ
ならなくなった」。前述の河田氏の分析である。しかも企業の財務体質悪化から物流
コストの削減と在庫を極力圧縮する傾向が高まり、ITを駆使した利益を生み出す製品
管理センターとしての役割が物流と物流倉庫に課せられてきたというのだ。
※続く
3 :
ライトスタッフ◎φ ★:2010/01/06(水) 13:56:41 ID:???
>>2の続き
「荷主の注文する内容が変わってきた」。海運会社OOCLを姉妹企業に持つ香港系3PL業者で、
物流システムを提案するOOCLロジスティックスジャパン。樫山峰久・取締役経営企画
本部長は、顧客要件へのより詳細な対応が必要となるケースが最近増えたと明かす。
たとえば、ワールドワイドで調達される商材のHSコード(貿易の分類コード)が出荷国
ごとにバラバラで、どのコードがどの商品か判別し難い場合がある。OOCLロジでは、
いったん受け取ったコードを各商品別に整理、データを一目瞭然に加工し直し、荷主に
通関のサービスを提供する。「単に荷物を預かって運ぶだけでは、事業として成り立た
ない。陸・海・空輸と倉庫まで荷主に合わせたSCM(サプライチェーンマネジメント)の
構築の提案が3PLに不可欠」と、樫山氏は物流業界の変わりぶりをこう解説する。
3PL。一言で言えば、従来企業が物流子会社や大手物流業者に一括で丸投げしていた
物流業務を複数企業に委託するビジネスモデルだ。企業は、この 3PL業者が提案する
運輸、情報、倉庫の各システムをカフェテリア方式で選び、安価で最適なSCMを構築する。
こうした選択方式に、マルチで対応する外資の巨大物流倉庫は打ってつけなのだ。
■国際調達の多様化でフレキシブルな?マルチ倉庫の活用へ
「日本通運、日立物流、センコーの3社が、物流コンペティションの常連」。物流大手の
幹部は、3PL分野のシェア争いに鎬を削っているのが、この 3社だと明かす。特に日立
物流はメーカーが抱えきれなくなった物流部門を丸ごと買収。07年4月に買収した資生堂
の化粧品物流子会社を皮切りに、09年7 月の内田洋行の子会社の買収など、国内外で
M&Aを通した3PLの業容拡大に取り組んでいる。
「00年代以降、イオンの物流改革の波に乗って、企業の物流ソリューションに取り組んだ
のが転機。09年度も前期を超える新規受注が見込まれる」。日立物流は、年度後半の
新規受注にも手応えを感じている様子。日本通運も、「物流外資ファンドの日本参入を
機に3PL業務を強化したが、既存倉庫のリニューアルや新規建設を含めた投資は06年度
以降、高水準で推移」と外資のマルチ倉庫の活用とともに、自社倉庫を活用した新規
受注に積極姿勢だ。
「09年の7月から、リーマンショック以降凍結していた開発案件が動き出した」。
プロロジスの山田御酒・プレジデント兼CEOは、キリン物流やセンコー向けの施設開発を
再開したことを明かす。山田氏によれば、リーマンショックを境に物流をアセットから
切り離し、本業に集中する経営者の意識が強まっているという。
「SCMの中で、川下の消費に変化はないが、より安価で良品の製品開発を追求するために
川上の生産拠点がワールドワイドに移り変わっている。生産地が変われば必要な倉庫の
立地も変わる」。ラサールインベストメントの中嶋康雄代表取締役兼CEOは、商流や
物流に合わせた最適な倉庫利用の有益性に、企業が気付き始めたと指摘する。
※もう少し続く
4 :
ライトスタッフ◎φ ★:2010/01/06(水) 13:56:54 ID:???
>>3の続き
「情報と物流は、企業のノウハウであり企業戦略だ。決して見せるな」。流通小売りに
革命を起こしたダイエーの故中内氏の言葉である。それまでの問屋経由の物流を地域
ごとに専用倉庫に集約させて効率配送を実現するRDC(リージョナル・ディストリ
ビューション・センター)が、現在の3PLの走りであるという。
物流各社が使用するロジスティックスとは本来、軍事用語で兵站(へいたん)という意味。
武器を安定供給することで戦闘力を維持する仕組みに用いられる言葉だ。「必要な商品を
必要な量だけ必要な時間で」。デフレ再燃の日本にあって、「物流外資」の巨大マルチ
倉庫を活用したSCM戦略は、企業が勝ち残る強力なアイテムとなりつつあるようだ。
(おわり)
5 :
名刺は切らしておりまして:2010/01/06(水) 14:03:21 ID:biUtVBTq
そういやタレントが倉庫で買い物しまくる番組最近やってないなw
イオンに怒られたんか?www
6 :
名刺は切らしておりまして:2010/01/06(水) 14:06:35 ID:FW9TajTn
アマゾンみたいに脱税の拠点だろ
既存の物流業者涙目?
消費地に近くて1万坪から2万坪ってでかいな。
といっても巨大SCが5〜6階建てになったくらいか。
8 :
名刺は切らしておりまして:2010/01/06(水) 14:16:00 ID:v9aO5zc1
日本レップw
倉庫作ったはいいけど、テナント入らなかったときの悲惨さはすごいぞ。
これなんて立体駐車場?
>>7 うちの近所のショッピングモールは敷地面積8万坪とかあるらしいけど。
12 :
名刺は切らしておりまして:2010/01/06(水) 23:48:27 ID:qecetzsj
日本企業は何で参入しないの?
日立がインフラ頑張るって本当だったんだなw
海外REITとセットになってるんだよな
高速道路無料化と関係あるのかな。少なくとも、第二東名開通とは関係あるだろう
こういう時期的にジャンピングチャンス的な新しい考え方で投資するのは流石外資
>>12 日本は良くも悪くも外圧でしか変わらないから
これ、シンガポールにヤオハンが作った倉庫(ICMだったかな)とどこが違うの?