黒部市に生産拠点を置くYKKAP(東京)は2日までに、2011年度にも新たに3カ国程度に生産拠点を設置する方向で検討に入った。
10年度に対象国を絞り込む調査を行う方針で、インド、ロシア、モンゴルを軸に検討を進める。
国内の建材需要の伸びが見込めない中、海外シフトを強め、将来は現在の2倍以上の1千億円事業に育てたい考えだ。
同社は既に7つの国と地域に進出しているが、新たな国への進出は12年ぶりとなる。
YKK APは1976年のシンガポールを皮切りに海外進出を始め、米国、ブラジル、中国、インドネシア、香港、台湾に進出している。
7つの国と地域はいずれも現地向けの生産拠点として進出しており、新たに進出を検討する国でも現地向けの生産を予定する。
2010年度に現地の住宅事情や購買力などを含めた本格的な調査を実施し、対象国を絞り込む。
同社が海外シフト加速する背景には、リーマンショック以降の住宅不況で国内の売上高が大きく落ち込んでいることが挙げられる。
2008年度に3137億円だった国内での建材事業の売上高は2009年度は2654億円が見込まれ、
500億円規模で縮小。営業利益は両年度とも赤字を計上する見通しである。
海外についても売上高は498億円から452億円に縮小する見通しだが、
営業利益は両年度とも7つの国と地域のすべてで黒字となる見通しだ。
建材事業で海外の利益率が高いのは、建設業界の下請け的な色彩が濃い国内市場に比べ、
海外はビル建設などで、協力者として建設業者と対等に事業に参画できるケースが多いためだとされる。
2008年度の売上高でみると同社の海外比率は13・7%にとどまっており、
吉田忠裕社長は「売り上げの3分の1が海外でもいいと思っている。一気に海外進出を進め、
利益率の高い仕事を増やしたい」としている。
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/T20100103203.htm