2009年12月、南方農業報は中国科学院植物研究所の蒋高明(ジャン・ガオミン)
首席研究員の署名記事を掲載した。
蒋研究員は中国農業部による遺伝子組み換えイネの安全認定を厳しく批判している。
16日、南方網が伝えた。
先ごろ、中国農業部は害虫に強い遺伝子組み換えイネに対し安全証書を発行した。
このニュースは遺伝子組み換えイネの商業化において、中国が世界の最前線に
躍り出たことを意味する、ある意味で「喜ばしいニュース」である。
しかし、その一方で不安が残ることも事実だ。
安全認定のニュースは11月27日、ロイター電によって明らかになった。
数億人の食にかかわるこの重大なニュースを、中国中央電視台(CCTV)や人民日報など
中国の大手メディアは全く取り上げていないことに問題を感じる。
なぜ遺伝子組み換えイネ商業化のニュースはこれほど不透明なのか。
人々が不安になりパニックになることを恐れたのではないのか。
遺伝子組み換え作物の安全性はまだ完全に保証されているわけではない。
安全認定を下した専門家のリストを公表し、市民の疑問に答えるのが科学的な態度であろう。
また害虫に強い遺伝子組み換えイネによって農薬使用量を削減できるという結論もまだ時期尚早だ。
中国では2001年より害虫に強い遺伝子組み換え綿花の栽培が始まった。
当初、オオタバコガの虫害が大きく減少したと絶賛されたが、その後、別種の害虫の大量発生が続き
農薬使用量は逆に増加するなど、かつての「神話」は完全に崩壊した。
また、遺伝子組み換え大豆の大規模な導入が進んだアルゼンチンでも、
バイオ企業の売り込み文句とは裏腹に農薬使用量は減少していない。
さらに、中国で開発された遺伝子組み換えイネではあるが、外国企業の特許を使用しており、
商業化後には高額なパテント料を請求される可能性も残っている。
不確定要素がこれほど多い中で、なぜ遺伝子組み換え作物の肯定的な面ばかりが語られるのか。
研究者や企業の「利益」がその原動力となっているからだ。
国家農業遺伝子組み換え作物安全委員会の3分の2は遺伝子組み換え作物を研究する研究者によって
占められている。そのほとんどが特許を保有していたり、バイオ企業を経営するなどの利害関係者。
環境保護や食品安全関係の専門家はほとんどいない。
そもそも長期的に考えれば、生態環境のバランスを取りながら、害虫を減らし生産量を増やすこと
しかないのではないだろうか。
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=38086