どんな大企業だろうが零細企業だろうが同じなんだよ、作るものが。
建築用のコンセントやスイッチは互換性がないと困るから。創業時、こちらは男女4人の超零細企業。
で、既に大手企業がごろごろいて“超ブランド”。
決められた規格の中で、職人さんに「使い良い」とほめてもらえる商品にしなければ勝ち目はなかった。
だから、あらゆることでよそと違うことをして、常に全社員が工夫する社風にしようとなったわけ。
どこの社長もネクタイ締めとるなら、おれは締めない。人がやっとることはやらない、反対やろうよと。
そういう癖をつけとれば、商品に工夫ができるだろうと。
第一号製品から差別化してる。電柱から電線を引き込むためのジョイントボックス。
天井裏に取り付ける時に、台座と木ねじを左手に持たなかん。
そこで木ねじを差し込む穴(の内側)にいくつもの突起を出して落ちないようにした。
工夫して売れると、ほかのメーカーがまねするわけやな。で、(それが)売れるかというと絶対売れない。
先手必勝。よっぽどメリットがない限り、慣れたところがいいと思うわけやな。
しかもこんな小さくて安い商品に次から次へと工夫をしていくと、よそは付いてこれなくなっちゃう。
それでみんな工夫するよりも、値段を下げたがる。
(主力製品の一つの)スイッチボックスはさ、全メーカーが(未来工業の製品の)半額。
だけど80%というわれわれのシェアは全然減ってない。
横並びで、同じもの作ってやっとってもしょうがないじゃない。
人件費でやろうとする(他社の)コスト削減も間違いすぎとる。
派遣は(正社員に比べて)給料半分、ボーナス10%、退職金なし、仕事おんなじ、といわれる。
それで誰が会社のために頑張ろうと思うか。
この会社は800人全員が正社員で、パートゼロ、派遣ゼロ。
年間140日の休日は日本で一番多く、残業なしで勤務時間1600時間は一番短いというのは、
労働省(現厚生労働省)がお墨付きくれたわな。
すべて社員に喜んでもらうため。出発点は、社員に頑張りたいと思わせなかん。
うちの本社の廊下は朝から晩まで一切、電気をつけないし、コピー機も1台しかない。
コストを下げるネタなんかいくらでもある。
政府や経済評論家は「景気が悪い」と言ってもいいよ。でも経営者が言っちゃいけない。
不況のせいにしたら、しょうがねえなあで終わっちゃう。
どうライバルから取るか、頭を使えばまだまだ需要はあるんだから。
http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ryugi/list/CK2009121702000208.html http://www.chunichi.co.jp/article/feature/ryugi/list/images/PK2009121702100129_size0.jpg