名古屋市議会の財政福祉委員会が4日開かれ、市側は市民税減税による人口の社会的増加が
年2千人に達するとの試算を明らかにした。一方、減税の制度設計をめぐって、市議からは「低所得者に
減税の恩恵が少ない」として、低所得者に配慮した減税を模索する質問もあった。意思決定前の委員会
審議はこの日が最後の予定だったが、7日に再び審議することになった。
市の依頼で「三菱UFJリサーチ&コンサルティング」が、減税を行わない場合と比べ、向こう10年間の
経済効果を試算した。減税による手取り収入の増加を見込んで流入する人口から、転出分を差し引いた
社会的増加は、10年間で計2万人と人口の1%に達する。
家計が所得から消費に回した額の総計に当たる民間最終消費支出は年平均0・47%(219億円)アップ。
加納理行主税課長は「市内の経済活動が活性化し、雇用者の所得も増える」と説明した。
一方、減税の制度設計について、渡辺義郎氏(自民)は年収300万円の4人家族で減税額は年1400円
だとし、「市長は『1人1万5千円もらえるで待っとってちょう』と言っていたが、話が違う。市民にアンケートで
賛否を問うべきだ」と指摘。柴田達男財政局長は「強い要望があったと市長に伝えたい」と述べるにとどまった。
市の減税案では、個人市民税のうち、所得に関係なく、3千円かかる均等割を、10%に相当する300円
引き下げ、2700円にする計画。一方、同様に市民税減税を目指す半田市は均等割部分の減税額が大きく、
2900円引き下げ、100円にする。
納税額が少ない人にも2900円の減税額を保障する半田方式は、相対的に低所得者に有利な制度設計と
言え、質疑では「国は半田市のやり方を認めているのか」との質問も出て、柴田局長が「自治体の判断に
委ねられている」と答弁するなど、議会側が修正案を検討する布石とも取れるやりとりもあった。
ソース:中日新聞 [09/12/05]
http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009120590121706.html