東京証券取引所[TSE.UL]は、企業の資本調達の1つの手段である「ライツ・イシュー」
の利用を促すために、上場ルールの一部を見直す。複数の関係筋が4日、明らかにした。
ライツは公募増資と異なり、既存株主の利益の希薄化を回避できる手段として欧州などで
実施されているが、日本ではルールの使い勝手が良くないことなどから利用が進んで
いない。未曾有の増資ラッシュによる希薄化への懸念も日本株低迷の一因とされており、
東証は企業が増資する際の選択肢を多様化したい考えだ。利用拡大に向けては金融商品
取引法なども見直す必要があり、金融庁も関係法令の整備に向けた調査を始める。
複数の関係筋によると、東証は早ければ年内にも「有価証券上場規程施行規則」の
一部を変更し、実施する方向で検討している。「ライツ・イシュー」は、既存株主に
新株予約権を無償で割り当て、株主が資金を払い込んで予約権を行使すれば株式を受け
取ることができる方法。増資後の株式数は増えるが、既存の株主すべてに新株予約権を
割当発行するため、既存株主の利益の希薄化を回避できる。
しかし、割り当てられた株主が予約権を行使しなければ、企業はその分の資金が調達
できなくなる。このため現在でも、株主が行使しない分の予約権を他者に売却しやすく
するよう、予約権を上場する仕組みが用意されている。
ところが、現行ルールで上場できるのは、予約権1個に対し株式1株を発行するケース
に限られている。東証は、商品設計の自由度を高めるねらいで、この規程を削除する。
これによって、例えば予約権10個に対して1株を発行する新株予約権でも上場が可能に
なり、柔軟性が高まる。
金融庁も、大規模増資による希薄化の問題に注目し、ライツ・イシューが希薄化対策と
して位置付けられるかの調査に入る。上場ルールの変更だけでは、利用が広がるか
不透明だとして、金融商品取引法や会社法における制約を見直す必要があるとの指摘も
出ている。当局への届出や株主への通知などで制度上、一定の期間が必要とされており、
機動的に資金調達したい企業にとっては障害になっているとされる。
<以下略>
ソース:Reuters
http://jp.reuters.com/article/stocksNews/idJPnTK035834220091204