【自治体】“無税”自治体への挑戦 山田宏(杉並区長) [09/11/20]

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1@@@ハリケーン@@@φ ★
◇恒久減税、そして住民税ゼロへ◇
 私は平成22年3月の杉並区議会に「減税基金条例(仮称)」を提案する。これが
可決されれば、ついに「減税自治体構想」が現実のものになる。

「減税自治体構想」の基本的な考え方は次のようなものである。まず減税基金として
毎年予算額の1割(約150億円)を積み立てていく。そして、この基金を、当座1.5%の
金利で運用していく(当面は国債での運用を予定)。

 すると、この基金の利子収入を活用することにより、10年後の平成32年度からは、
住民税の10%の恒久減税を開始することができる。年を経るにしたがって、恒久減税幅は
拡大していく。計算上は、20年後には15%。53年後には50%。そして78年後には、
住民税がゼロになる「無税自治体」を実現できることになるのである。

 このような基金を積み立てておけば、大災害など万が一の非常時に役立てることも
できよう。また、単年度主義の「使いきり予算」から「財政のダム」を築くことで強固な
財政基盤を生むことができる。恒久減税を実現する街として杉並のブランド力を高める
ことにもなるだろうし、場合によっては多くの高額納税者が杉並区に集まり、結果的に
かえって全体の税収が増える可能性もある。そうなれば、低所得層に対しても行政
サービスをいっそう向上させることができる。

 これが本当に可能なのか。平成19年から「減税自治体構想研究会」を設置し、法政大学
大学院の黒川和美教授はじめ専門家の方々に、人口変動やマクロ経済の動向が与える
財政収支への影響などを踏まえつつ詳細な検討を重ねていただいた。上記の試算は、
このシミュレーションに基づくものであり、十分に実現可能と裏付けられたものである。

 この「減税自治体構想」の発想が生まれた1つのきっかけは、10年来進めてきた
「杉並改革」の成果が実を結びつつあることにあった。

 私が杉並区長に就任した平成11年、杉並区の財政は危機的状況にあった。区税収入は、
バブル崩壊の影響で一気に減少していた。平成4年には740億円あった税収が平成11年には
560億円になっていたのである。それにもかかわらず、区の支出規模はほぼ横ばい。
このため、不足分は地方債で借金して何とか賄うような状況に陥っていた。膨れ上がった
区の借金は累積で872億円。毎年100億円を返済しなければならない状況であった。

 この状況をもっとも象徴する数字は「経常収支比率94.1%」であろう。経常収支比率
とは、全予算のなかで人件費や借金の返済、福祉予算など、容易に縮小できない経費の
割合がどれほどかを示したものである。つまり杉並の場合、どうにも動かせない
「固定費」が94%に達し、新たな政策に使える予算が6%しかなかったということである。

 これを改善するために、まず就任翌年度は予算の一律15%削減の方針を打ち出した。
さらに平成13年度から平成22年度までの10年間で、職員数を1000人削減することとした。退職者を補充しないことでこれを進め、9年目の現在、931人の削減を実現した。平成12年の杉並の職員数は4716人だったから5分の1の削減である。

ソース
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20091020-00000001-voice-pol
2@@@ハリケーン@@@φ ★:2009/11/22(日) 00:38:20 ID:???
>>1のつづき

 また、学校給食をはじめ、区の仕事はできるだけ民営化や民間委託化を進め、現在、
区の事業の民間化は6割に達するまでになった。

 この結果、区の借金もあと2年でゼロとなる見込みとなった。区の何でも使える貯金
(財政調整基金)も、就任当初19億円であったものが223億円まで増え、経常収支比率も
70%台となった。財政健全化のメドが立ったのである。

 しかもこの間、子育て応援券や、区独自の教員養成機関「杉並師範館」など杉並なら
ではの施策に取り組み、区役所の土日開庁など、行政サービスも充実させた。区民満足度
調査でも、95%の区民から「住み良い」、75%の区民から「区のサービスに満足」と
答えていただいている。平成20年度の『日本経済新聞』の自治体ランキングにおいても、
行政革新度で全国3位、行政サービス度で全国12位の評価をいただいた。

 じつはこれらの行政サービスは、歳出のうちの9割の支出で実現されてきた。平均して
決算額の約1割強を区債償還と財政調整基金の積み立てに充ててきたからである。「杉並
改革」を進めることにより、そのような姿が実現したのだ。

 せっかくここまで進んできたものが、財政健全化が実現した途端に悪化してしまっては
元も子もない。私は、自分が退任したあとも何らかの永続的な財政運営の歯止めが必要だ
と考えた。そこで念頭に浮かんだのが、私が松下政経塾に在塾しているころから松下
幸之助塾長が熱く訴えていた「無税国家構想」であった。「予算の使い切りを改め、
国家予算の一定割合を積み立てていけば、将来的にはその利子収入で無税国家も実現
できるのではないか」というビジョンである。

 かつてならば、この構想は荒唐無稽に思われた。しかし、決算額の1割強を区債償還と
基金積み立てに使ってきたことを考えれば、これはあながち空理空論ではないように
思われた。財政健全化を実現したあとも、引き続きその1割を基金として積み立てること
は可能なはずだからである。そこから「減税自治体構想」が生まれたのであった。