[東京 16日 ロイター] 2008年の金融危機発生以降、欧米市場の縮小に伴い、
世界経済は一段と中国・アジア市場への依存度を高めている。国際通貨基金(IMF)は
2011年まで世界経済が平均で4%程度成長するシナリオを描くが、その3割が中国の
成長に依存する形となっている。
ロイターは〔高まる中国依存〕という視点で、日本経済の発展性と問題点を浮き彫りにしていく。
第1回は、河合正弘・アジア開発銀行研究所長にインタビューし、中国市場の可能性と
リスクについて聞いた。河合所長は、人口13億人の中国市場において4億人の中間所得層が
将来の富裕層に、その下の所得層の9億人が、将来の中間所得層になりうると指摘。その上で
日本を含む世界の企業にとって、この富裕層・新中間層の獲得なしで生き残りを図ることは
難しいとの認識を示した。同時に中国市場は、今後30年から50年にわたり、中付加価値品から
高級品まであらゆるセグメントの商品の投入が可能だと述べた。
河合所長は中国市場について「今最も重要になってきているのが、中間所得層に
食い込むこと」だと述べた。
現在、中国人の1人当たり国内総生産(GDP)は3000ドル程度で、日本の10分の1に
とどまっている。一方で、年間可処分所得が5000ドルから3万5000ドル(50万円から
350万円程度)の中間所得層と呼ばれる人口は4.4億人にものぼり、日本の総人口の4倍に
当たる。この層が近い将来350万円以上の富裕層に移行していくと見られている。
これ以下の所得層は、現在9億人程度。この層は近い将来、中間所得層に移行していくと
河合所長は語る。
こうした見通しにたって「日本でも1960年代から所得が増加して消費が徐々に高級化して
いった。それと同様、中国の中間層の将来のポテンシャルは相当大きい。こうした市場は最近
なかった」と指摘した。
その上で、企業にとって「この市場をつかまえておいて、自社のブランドを知ってもらえれば、
30年、50年先までミドル商品から高付加価値商品まで売れるようになる。これを無視して
企業は、今後やっていけないくらいだ」と語った。さらに「企業にすれば、ミドル商品から
高級品までマーケットセグメントを捉えれば、予測可能な形で長期間仕事ができる市場だ」と述べた。
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ソース:ロイター [09/11/16]
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-12488620091116