【コラム】日本株がどうしても上がらない理由を列記してみた [09/11/11]

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1本多工務店φ ★
日本株の上値の重さが目立っている。
NYダウが大幅高を伴いながら年初来高値を更新し、上海市場などアジア市場もリーマンショック前の水準に戻りつつある今、
どうしても日本株(日経平均株価)の動きの重さが目に付いてしまう。

もちろん、日本株が大きく下げている訳ではない。
日経平均は3月10日に7021円の安値をつけて以降急速に切り返し、8月31日には10767円の高値をつけた。
現行水準は、高値から約8%下回っているにすぎない。
それでも、強い閉塞感の漂う株式市場のムードは尋常ではない。
これについて、考えられる理由を5つ挙げてみたい。

(理由1)「構造改革路線」の後退
郵政民営化の見直しに象徴されるように、かつて世間を沸かせた「構造改革路線」は後退しているように感じられる。
さらに、現政権の政策のあちこちに「成長重視から分配重視」の意識が見られる。
「弱者保護」「平等」といえば聞こえがいいが、それは確かに成長路線放棄とも見なされる。
成長を重視する株式市場では極めてウケの悪いものだ。

(理由2)増税がスタートしそうな気配
前項ともつながるものだが、どうも増税が始まりそうな気配がある。
一般的には、所得税最高税率の引き上げや、たばこ税増税、そして名前を(国民福祉税などに)変えて消費税が引き上げられることが話題になっている。
これに加え、証券優遇税制の廃止も言われている。これは明確に投資家の動きを鈍らせるものとなる。

(理由3)巨大債務を抱えながらの国債増発
一部報道では、国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」は、この9月末時点で864兆5226億円に達したとされている。
もちろん過去最大の債務だ。そこにきて、国債増発が確定的となっている。当然、金利上昇懸念も出てくる。
この現状をみれば、国内投資以上に、外国人投資家が日本に対する投資に二の足を踏むことは簡単に想像できる。

(理由4)潜在成長率の低さ
日銀の展望レポートでは、日本の潜在成長率はゼロ%台半ばとされている。
これは新興国とは比べるべくもなく、先進諸国と比べても低い数字だ。
どうしても中長期的に人口が減りゆく中で成長率が上昇するイメージはつかめない。

(理由5)夏に株高となった反動
8月に日経平均が高値をつけたことは先に述べた。
そこから2ヶ月強しか経過していない現状では、株式市場で言われるところの「日柄整理」がまだ付いていないと見ることもできる。
かつて株を買った投資家は、今はまだそれを売りたい意向が強いというものだ。
もちろん、日柄整理はいずれ終了するが、その時に、新たに投資家が株を買わなければ再上昇はない。

投資家が株を買わない理由が一つ一つ片付くか、株式市場の中に織り込んでしまわなければ、
投資家が次のアクションを起こすことは難しく、今の閉塞状態から脱するのは困難だろう。
そして、「理由」の多くが政治に絡むものである以上、閉塞感を作り出している要因は「政治」と言わざるを得ない。
(執筆者:天海源一郎 株式ジャーナリスト 編集担当:サーチナ・メディア事業部)

ソース:サーチナ
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1111&f=business_1111_160.shtml