コマツは、産業機械部門の中小型プレス機械で、中国向けを強化する。市場に適した
低価格機を投入し、初めて現地生産を行う。主要部品の生産を手掛ける石川の協力企業に
とってもプラス材料となる。一方、小松工場(小松市)の閉鎖で、来年4月から金沢
工場(金沢市)だけで製造することになる大型プレス機械は、今期の下期、来期も
新規需要が望めない厳しい状況が続く見通しで、保守や工場再編に伴う更新需要の
取り込みを強めていく。
コマツの岡田正執行役員産機事業本部副本部長が10日、北國新聞社の取材に対して
明らかにした。
中国で投入するのは、低価格の中小型プレス機械「H1F」。コンピューター制御で
モーターを稼働させるサーボプレス機械で、加工物に対して接触する速度を自由に
変更できる。基本性能は維持しながら無駄を省いた低コスト、コンパクト設計となっている。
岡田副本部長によると、産機の世界市場が縮小する中で「中国は比較的投資や引き
合いがある市場」。しかし、中国国内メーカーと台湾メーカーのシェアが圧倒的に高く、
コマツ製とは30〜50%の価格差があることから、なかなか参入できないでいるため、
低価格機の投入を決めた。
低価格機は自動車向けのほか、家電製品や携帯電話などの小物部品向けの需要を想定。
コスト低減のため、来年4月以降、建機のコマツ常州の工場で現地生産に乗り出し、
200トンクラスのメカプレス、プラズマ加工機も製造する予定。
中小型プレス機械などはこれまで、石川県内の協力企業などで生産してきた。現地
生産による協力企業の生産への影響について、岡田副本部長は「中国市場はほぼ新規
参入に近く、従来の生産や販売体制は維持するので、影響はほとんどない」と強調した。
その上で、「現地生産する機械に組み込む高付加価値部品は石川の協力企業が製造
して中国に輸出する」と説明。中国での生産が増加すれば、協力企業にとってプラスに
なると指摘した。
コマツは、来年3月末で閉鎖する小松工場での生産を年内で終了する。同工場で扱う
大型プレス機械の組み立ては金沢工場に、加工は協力企業の鈴木鉄工(能美市)に
それぞれ移管されることが決まっており、12月から設備機械の移設作業を始める。
特急の注文に対応する設備などを残し、約3カ月で移設作業を終える。500人弱の
社員の異動準備を進めており、順次、鈴木鉄工や金沢や粟津工場などに移す。事務
部門は来年3月末まで残る予定である。
8月に稼働した金沢第2工場について岡田副本部長は「予定通りの稼働だが、
こういう市場環境なので極めて低い水準だ」とした。第2工場は大型プレスと大型
建機の溶接などを担当している。
ソース:富山新聞
http://www.toyama.hokkoku.co.jp/subpage/K20091111301.htm